ジョギングする少女

naka-motoo

第1話

 朝、連峰の陵線を真っ黒に染めて、朝のお日様が昇ってくる。その逆光に浮かび上がった連峰のシルエットに向かって、今日一日の第一歩を走り出す。学校に行く前の1時間ほど。1回に走る距離は7~8km。毎日走るその目的は、コース上にあるいくつもの神社。これは、ある人が末期がんになった時に、残りの人生をどう生きるかを考えて、毎日神社を歩むコースをたどり、お参りしていた、という話を聞いたからだ。だから、そもそもスポーツとして取り組んでいる、とは言い難い。


行きつ戻りつのコース設定となる。複雑で、周囲の人が知れば、「変わってるね」と言われてしまいそうなわたしのジョギング。


ジョギングの締めくくりにお参りさせていただく神社。この神社には戊辰戦争で戦死したわたしのご先祖が祭られている。そして、その境内では神職の方が、数名の氏子さんたちと一緒に毎朝ラジオ体操をしている。終わるとみんなで掃除をする。なんだか、清々しい。


だから。わたしはジョギングそのものというよりは、切り取られるこうした風景が愛おしくて毎日走っている。

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