決戦フェイズ

第17話 決戦フェイズ① いま、わかった!

GM:それでは、決戦フェイズです。まずは戦闘前の演出を行いますね。


●決戦フェイズ 戦闘前演出

GM:あなた達は、怪物との戦闘のため、再び先ほどの空間へとやってきた。周囲には絶望の闇が満ち、どこからか「テケリ・リ! テケリ・リ!」という、嘲るような声が響く。そうして、あなたたちの前に玉虫色の原形質の塊が姿を現した。

天宮:出たな、ショゴス!


 ショゴス。クトゥルフ神話に登場する、テケリ・リと鳴く玉虫色の不定形の怪物である。水陸両用、不定形の身体を変質させて様々な器官を自由に形成することができ、文献によっては『ラヴクラフトが創造したすべての怪物の中で最も恐ろしいものの一つ』と評されることもある。


GM:怪物は、あなた達に気づくと、おぞましい敵意を向けてくる。あなた達は恐怖で肌が粟立つのを感じる。勝てない、と直感が告げる……。だがそのとき、ハルムが一歩前に進み出て言う。

呪:おお。

緋色:ここで光るのか!

GM(ハルム):「皆さん、大丈夫です! プログラム起動。モード『制約リストリクション』」彼女がそう呟くと、彼女の身体が光り輝き始める。ちょうど魔法少女アニメの変身バンクのようなイメージです。すると、不定形の怪物は、硬直したかのようにその動きを止める。

天宮:おおー! 正統派お助けNPCだった!!

GM(ハルム):「これで、あのドロドロの奴の動きは封じました! 今のうちに奴を!」と少女はあなたたちに言います。

供我:「よし、ボコボコにしてやる!」

GM:……だが、そのとき。

一同:え?


GM:天井から垂れ下がる氷柱つらら石の先端に、凄まじい悪意が凝縮するのを感じる。それと同時に、周囲を名状しがたい悪臭が満たす。

天宮:あれ、ここで氷柱つらら石……?

GM:何かがおかしい。あなた達は、そこでようやく気づく。ここには、あのドロドロ以外にも、「何か」がいる。

呪:(息を飲んで)そういうことか……!

GM:そのとき、氷柱つらら石からあなた達に向かって、青い粘液を纏った触手のようなものが襲いかかる! ……というわけで、全員2D6−1点のダメージを受けてください。

供我:えーっ! きっつ! (コロコロ)うぇ! やばい、11。−1で10点。半分減った……!

緋色:(コロコロ)9点。でも「無限の盾アイギス」で軽減できるので、実ダメージは5点!


 「無限の盾アイギス」。緋色の親神であるアテナのギフトで、自分が受けるダメージを[青の領域の覚醒段階×2]点軽減することができる。現在、青の領域は第二段階まで覚醒しているため、ダメージは4点軽減された。


呪:(コロコロ)7。−1で6点。

天宮:(コロコロ)う、8。−1で7点食らった!


 いつもは2D6で5が出ないことを嘆いているのに、こういうところでは全員きっちりと期待値以上を出してくる、文字通り期待を裏切らないPL達だ。


  供我冥利 生命力:19→9

  緋色晴斗 生命力:14→9

  呪大河  生命力:13→7

  天宮奈々 生命力:15→8


‪呪:わかったね、ニャル様の意図が。いま、わかった!

天宮:……これ、どうやったら気づけたんだろう?

GM:ふふふ。それは、またアフタープレイで解説しますね。あなた達を襲った触手のようなものは、怪物の「舌」だった。あなた達は、ようやくその姿を視認した。氷柱つらら石の「鋭角」の中、「青い原形質」を滴らせる怪物がこちらを凝視している。

天宮:わんわんお!?

呪:ティンダロスの猟犬! クトゥルフ神話TRPGではけっこう遭ってるはずなのになー! 全然気づかなかった!!


 ティンダロスの猟犬。ショゴスと同じくクトゥルフ神話の怪物で、時間の角に潜み、「時を遡ろうとする者」をどこまでも追いかける。その身体は全身青い膿に覆われており、鋭角のある場所から実体化して出現し、長い舌を突き刺して犠牲者の精神力を吸い取るのだという。


GM:怪物は、獲物を狙う猟犬のようにグルルと喉を鳴らすと、勢いを付けてあなた達に襲いかかった! ……というわけで、戦闘を開始します!

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