第8話「受け継ぐ者達」

 こうして……

 ユウキ家お子様軍団、8歳、7歳組の母同伴の個人面談は終わった。


 今回は、何とか上手く行けたと思う。

 子供達の表情を見れば、父親の俺にははっきりと分かった。

 皆、晴れやかな笑顔となっていたから。


 一方、母である嫁ズは子供の正直な言葉を聞き、気持ちを打ち明けられ、

 どう感じたのか、思ったのか、考えたのか、気になった。

 

 子供の本音がしっかり聞けて……

 素直に嬉しかった、喜ばしいという気持ちは全員にあっただろう。

 

 しかし、自分が思い描いていた我が子の未来……

 イコールだったのかどうかと言えば、

 100%満足が行くモノではなかったかもしれない。


 子供が親と上手く行かない時、思った事があるだろう。

 俺の、私の、人生は自分のモノだって。

 

 貴方の、貴女の為に、子の自分は生きているんじゃない。

 一方的に、無理やり期待を背負わせるのはやめてくれ等々……


 このように考える時、反抗期とかぶっていたら、尚更ターボがかかる。


 それ故に俺は、子供にとって、親とはどのような存在であるべきかと考える。

 

 導き出された答えは……

 日常は近過ぎず遠過ぎずという、バランスの良い立ち位置である。

 万が一子供が悩んだ時とか緊急時は、その逆も必要だと思う。


 どちらにしても、子供の状態をしっかり把握し、

 何かあった時にすぐ対処する事が必要だろう。


 その為には今回のようなコミュニケーションが必要不可欠なのは間違いないし、

 実施して良かったと思う。


 この日の夕食は、ひと際にぎやかだった。

 そして夕食後のお茶の時間、入れ代わり立ち代わり、

 子供達が俺の下へやって来た。

 

 まずはレオが、


「お父さん!」


「おう、レオ」


「カニャールさんの家へ行って、早速話して来たよ! アメリーちゃんもぜひ一緒に習うって! ナイフ造り!」


「了解! レベッカママにOKは貰ったか?」


「うん! アメリーちゃんなら大歓迎だって。僕、アンジュ達の子守りをたくさんお手伝いするって言ったら、すっごく喜んでた」


 何だ、レオの奴、レベッカの好むツボを心得ているじゃないか。

 女子が男子から、何をして貰えば喜ぶかどうかって。

 多分、『彼女』たるアメリーちゃんとの付き合いで学んだと俺は見た。


 でもそんな事を聞くのは愚の骨頂。

 うざいオヤジだと嫌われる。


 だから俺は笑顔でシンプルに褒める。

 

「そうか! 偉いぞ、レオ! 頑張れよ!」


「うん! 僕、頑張る!」


 次に、シャルロットとフラヴィに抱きつかれる。


「おっと、ふたりともどうした?」


「一緒にハーブ作ろうって盛り上がってたのっ!」

「そうそう! 絶対、ハーブをふたりのラッキーアイテムにするのっ!」


「おお、楽しそうだな」


 おお、ラッキーアイテムか。

 そういえば俺のラッキーアイテムって何だろう?

 転生する際、クッカから貰った『銅の剣』かな?


「うん、楽しいよ! 私達が作ったハーブを皆、美味しい美味しいって食べてくれるから」

「村やエモシオンだけじゃない、ジェトレ、王都、もっともっと遠くの国の人もねっ!」


「ああ、お前達の言う通りだ。俺だって美味しいハーブ、待ってるぞ」


「はい!」

「はあいっ!」


 更に次には、イーサンが面々の笑みを浮かべ、


「聞いて、お父さん!」


「おう、イーサン」


「すぐにお母さんが頼んでくれたよ。ミシェルママがいろいろ商売の事を教えてくれるって」


「おう、良かったな」


「うん! 楽しみでたまらないんだ。もしも僕が良いアイディアを出したら、新商品として大空屋に置いてくれるって! エモシオンのお店にもっ!」


 あはは、俺も商売は大好き。

 最近は『大空屋の若旦那』って言われなくなったのが寂しいし。

 

 結論!

 やっぱりイーサンはレベッカだけではなく、俺にも似ている。


「おう、頑張れ! でも何かあったら相談しろよ」


「はいっ」


 またまた次に、ポールが真剣な表情で、


「パパ!」


「おう、ポール」


「ねえ、僕、新しい野菜を育てたい。だから相談に乗って欲しいんだ、パパに」


「おう、任せとけ! アンリや村のじいじ達にも声をかけよう」


「ありがとう、パパ! 実はまだ村では作っていないモノなんだ」


「ほう、そうなのか?」


「うん! 南の国で取れる野菜で凄く美味しいんだって! 王都では、もう作られていて、とっても売れてるって」


 うん!

 人間の暮らしを支えるのはまず食だというのが個人的な俺の持論。

 なので農業を継ぐポールのこころざしは嬉しい!


「成る程、俺も興味があるぞ、その野菜」


「でしょ。だけど、まだ村では誰も食べた事がないんだ。僕、商隊の人に種を貰ったんだよ」


「おお、楽しみだな!」


「うん!」


 そして最後には……

 お澄まし顔のララがやって来た。


「パパ!」


「おう! ララ」


「ええっと! 当宿のお味はいかかでした?」


 あはは、可愛い。

 もう『オカミ』になりきってる。

 だったら、パパの俺も合わせなくちゃ。


「おう、美味しかったよ、オカミ」


 と言えば、ララはとびきりの笑顔で応えてくれる。


「わあ! パパ、嬉しいっ! ノリが良いっ!」


「そりゃそうさ、お前のパパだもの」


「うふふ、今のセリフ、ママにもアマンダママにも褒められたよ!」


「ああ、バッチリだ。いつでもオカミになれるぞ」


「わあ、パパにも合格、貰っちゃった!」


 という感じで……

 ララが再び、ソフィの下へ戻ったら……

 今、話に出たアマンダが、そしてサキまでやって来た。


 あれれ、両名が『甘えん坊モード』に入ってるぞ。

 でも単なる甘えん坊じゃない。

 やけに色っぽいんだけど……


 と思えば、さっきのシャルロット達みたいに、

 ふたりで思いっきり抱き着いて来た!

 そして超が付く甘い声で、


「旦那様ぁ」

「ケン~」


 と囁いて来た。


「おいおい、どうした? ふたりとも」


「そんなの決まってますよ」


 と、アマンダ。


「そうですよね~」


 アマンダの顔を見て同意するサキ。

 

 そして、ズバリ!


「旦那様! 私! 子供がすっごく欲しくなりました」

「ケン! サキもだよ! いっぱいいっぱいね」


「そ、そうか……」


 俺の嫁ズの中では、まだ子供が居ないアマンダとサキ。

 可愛い盛りの子供達を見て、大いに刺激されたらしい。


 ええっと、気持ちは良く分かるよ。

 子供って、とても可愛いから。

 いつの時代でも、どんな世界でも『一番の宝物』だから。


 とはいっても、子作り熱望なふたりの気合に、圧倒される俺。


「今夜は! い~っぱい可愛がってくださいね」

「サキも! アマンダママと一緒でも、徹夜でもOKだよっ!」


「わ、わあ! ちょ~っと、待った。落ち着け」


 ああ、俺の家族はまだまだ増えそう。

 そう言えば、「レベッカに続け!」という合言葉も、

 最近、嫁ズの間では流行っている。


 嬉しい悲鳴をあげながら……

 俺は超が付くリア充に心身を満たしていたのであった。


※『ユウキ家の親子面談』編は、今回の話で終了です。

 ご愛読ありがとうございました。


 当作品がもっと上を目指せるよう、より多くの方に読んで頂けるよう、ご愛読と応援を宜しくお願い致します。


 皆様の更なるご愛読と応援が、継続への力にもなります。

 暫く、プロット考案&執筆の為、お時間を下さいませ。

 その間、本作をじっくり読み返して頂ければ作者は大感激します。

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