ザ・キングオブシスターズ
岡村 としあき
プロローグ
妹。それは、全人類共通の宝。
妹。それは、儚くも眩い輝き。
妹。それは、愛し愛されるべき存在。
そんな妹達の頂点を決める年に一度の祭典、THE KING OF SISTERS。
歴史を紐解くと、中世ヨーロッパの皇帝が12人の妹達を競わせ、最後まで生き残った妹を生涯愛するために開催したのが始まりであるという。
そして今年もやってくる。THE KING OF SISTERSが。
「やっぱり自信ないよ……マユなんかが、キングオブシスターズに参加するだなんて……」
THE KING OF SISTERS2016会場。その受付でオレの妹、坂崎マユはためらっていた。
「マユ。お前はオレの自慢の妹だ。必ず頂点に立てる」
ロングヘアの清楚な黒髪美少女な妹は、小動物のように小さく丸まっている。
「でも……」
オレは、不安そうにうつむいた妹の肩に手を乗せ、覗き込んだ。
自慢の妹だけあって、その可愛さはハンパじゃない。中学の制服に身を包んだマユは、さながら地上に舞い降りた天使だ。
「特訓の数々を思い出せ。お前は毎朝オレを起こし、弁当を作って力を……妹力を磨いてきたじゃないか」
「大きくなったら、お兄ちゃんのお嫁さんになるの。と、毎日言ってくれた。その成果で、お前の妹力は2万もアップしたんだぞ」
妹力は数値化される。高ければ高いほど有利だが、それに技術が伴わなければ宝の持ち腐れだ。
ちなみに妹力は、妹力カウンターという専用の機械で計測できる。フランスの電気機器メーカー、ルイベル社製が市場シェアを独占していて、コンビニでも売っていたりする。
「自信を持てマユ。世間が認めなくても、オレが認めてやる。オレだけが……お前のお兄ちゃんなんだから」
「お兄ちゃん……ごめんね。マユ、参加するよ。戦って勝ち抜いて、最強の妹になる!」
マユはうつむいていた顔をあげると、優しく微笑んだ。妹力カウンターを見ると、妹力は4万2千。
大丈夫。大会の参加資格を満たしている。
キングオブシスターズに参加するには、十八歳未満の妹であることと、妹力が最低でも4万が必要なのだ。
「妹力は4万2千……はい、参加可能です。控え室へどうぞ」
無事に参加資格を満たし、ついにマユは会場へ足を踏み入れた。控え室までは
「行こう、お兄ちゃん」
「ああ」
始まる。全世界の妹達の壮絶なバトルが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます