高校生クリエイター

夜立 御伽

異能力とか意味あるの?

第一作 あなたは宇宙人ですか?

春である。日本各地で入学式のオンパレードの春である。桜の花びらが落ちていく道を僕、高野悠人たかのゆうとは、高校の入学式に向けてひたすら走っている。入学式に遅れて好奇の視線にさらされると思うと...ダメだ想像したら行きたくなくなってきた。でも行かないともっと面倒な事になりそうなんだよなぁ。

そんなことを考えながら走っていると、突然大量の桜の花びらが落ちてきた。

「うわっ!なんだこれ。最悪だ。鞄の中まで花びらだらけだ。」

もうゴールしてもいいよね...。そんな諦めを感じながら元凶である目の前の桜の木を見上げると、


ピンク色のゼリーのようなものが大木ともいえる桜の木をおおっていた。


「なっ...。」

驚きで言葉が出なかった。

「なにこれ...。」

やっぱ嘘。かろうじて言葉は出た。そして遅刻していることも忘れてそのゼリーのようなサムシングに釘付くぎづけになっていた。幸い、朝のうちにしては時間が遅かったこともあり、目撃者は僕だけのようだった。

「と、とりあえずここから離れ...。」

「ぁぁぁぁぁぁ!!」

なんか小さな叫び声が聞こえたようなきがしないわけでもないが、そんな事よりゼリー的なもののほうが怖くて気づかなかった。

僕の判断は正しかったようだった。ゼリーっぽいものが枝の間から「ヌチャァ」とか音をたてながら落ちてきた。あれに触ってしまったら即帰って洗い落とす。そう決意するぐらい気持ち悪かった。

その時、


「大丈夫だ。これは『ぜりぃ』とか言う食べ物だ。安心せい。」


と後ろから「ヌチャァ」という音とともに、とても落ち着く声がした。

したんだけど、『突然、ゼリーなのかスライムなのかよく分からないものを顔につけられる』という状況が飲み込めなかった僕は、家に帰る決意をしながらこう聞いてしまった。

「あなたは宇宙人ですか?」


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