第107話父の農場へ行きました。
今回はスイートというサツマイモを掘りに行きました。
父が手際よく長柄の鎌で芋づるをがさがさと刈って、退けていきます。
で、母が黒いビニール(畑の土が風などで飛ばないようにとの配慮)をひき剥いでいき、母と片手袋ずつ半分こして芋を掘っていく。
正直この間より楽だった。10メートルくらい長さのあるうねをほっくりかえすのだ。前日が雨とあって、かなり楽に掘り進められた。
刈られた蔓の根元に手をつっこめばすべすべした真っ赤な宝石がするりと出てくる。赤ん坊の頭二つ分くらいの巨大な芋がぞろぞろと。
あらかたとってしまったかな、と思っても、父がクワでざくざくやると、まだまだ出てくる。お宝だー!
里芋も収穫したんだよね。
父がクワでざっくりと芋の根元をひっくりかえすと、こぶのついた根っこが出てくる出てくる。
迷うのは、こぶの根元にある親芋のような存在をどうするか。食べようとすれば食べられるときいたが、持ちかえるの大変。
「もう疲れた」
と連発して、親芋を畑の外へ投げるが、そこは体育測定ソフトボール4Mのわたくし。そうそう遠くへは飛ばない。母が回収して畑の縁にならべていたので無意味に笑えた。
熟した柿もレジ袋にみっつほど。
これらが来月もあるんだから、たのしみたのしみ。
家に戻って、着がえる。
「おつかれさまです」
というと、いつもは怒る父が腹の据わってない声で、
「うん……」
と言った。本当に疲れていたんだな。
一緒に母のチャーハンを食べて、焼き鮭とサラダを食べて、片づけをして母とわたくしは帰った。
車をだすとき、父が見送ってくれたが、あまりいい傾向ではない。まえはわたくしたちが乗車すると、さっさと家にひっこんだような気がする。どうしたんだろう。
だまって手を振って別れを告げるわたくしに、孫にして見せるようなおどけた仕種で両手を振るではないか。ちょっとおかしみがあったので笑った。父ー元気でね。
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