第99話ほんのちょっとのおせっかい


 あぶないあぶない。


 知り合いの知り合いがYoutubeで送信しているリアルセーラームーンというものがある。


 演者=リアルセーラームーンはあくとれすびっくぼさん。


 声部のときからの知り合いだが、彼女はわたくしを親友と呼ぶ、ちょっぴり困ったちゃん。


 とにかく話を聞いてほしい、夜となく昼となく、逆転生活をしてでも話をし続ける。つきあう方は疲れてしまうから「夜中はやめて」「スカイプは伝言板として使って」とやんわり距離を置いた。





 セーラームーンリアル(彼女が演じている)を聴いてくれ、友達の手伝いをしてやってくれ、と去年頼まれて手伝った結果、わたくしは予想外の借金と疲労をためこむことになり、正直彼女の頼みは断ろうと思った。


 しかし、そのとき彼女は新しい彼氏に夢中でわたくしの話を聞いてはくれなかった。もう信用おけなくなったのでスカイプの連絡先も、ツイッターもブロックしたのに、なぜかまたメールが届いた。困ったものよ……





 ようつべの嘆きは深く、だが彼女自身の招いたことだったから、同情票でコメントしたら、彼女自身から連絡してきた。


「(私の苦しみに)共感してくれますか?」


 ってだけ。


 うーん、正直自業自得だよ、あくびちゃん。と思いつつ、空白欄に「テーマ・コンセプト・狙い・タイトル」と記入して、できるだけ感情を殺して励ましと応援を送った。


 そしたら、半日と経たずにまたメール。


「リアルセーラームーンは永遠……。聞いてくれて感動してくれたってことですよね!?」


 って始めるから、うんまあ、趣旨としてはそうね。と思ったけど、今度は感想をくれと言い始めた。バッシングを受けて落ち込んでいるからと。


 しかし自業自得なんである。今わたくしが彼女に助言できるとすれば、あくとれすびっくぼの名前を捨て、別のハンドルネームで別の活動をするか、ネットで活動するのをやめて心安らかに過ごすこと、それだけなんである。


 しかし、それでは彼女は満足しまい。


 感想は声部のときも、何時間もかけて言葉をつくして伝えてある。


 どうもわたくしのようつべでのハンドルネームが少しだけ違うので、別人だと思って感想を聞きたいらしいのだが……彼女は正直に感想を言っても満足しない。


「うれしくなかった」と言って、新たにキャッチ―な感想を渡すまで納得しなかった。今回も、自分の望む回答を聴くまで何度でも食らいついてくるだろう。





 悩んだ末に母に相談したら、


「もう、感想は送ったんでしょう? ならもう、してあげられることはない。黙って離れなさい」


 というのでメールを消した。





 なんだか十年来のできものがとれた気分だ。

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