第79話神のアンサーソング

 You'r Welcome

『モアナと伝説の海』(ディズニー)のマウイという半神半人の歌。

 印象は『天使にラブソングを』に似ている。

 シスターが『神に付き従います、どこまでも』と言ったら、神様が『どういたしまして』と笑ったように見える。


 欧米では、母親が赤ん坊にミルクを飲ませるときに、『サンキュー、サンキュー』と言いきかせるそうである。恵みを受けたらお礼を言うのよ、と言葉も発さないうちから教えているのだ。


 そう、マウイにとって世界は自分の子供のようなもの。

 この歌は、神の、世界へ向けたラブソングである。


 マウイは「自分はこれをやった、あれをやった。世界をこんな風にしたよ」というが、それで自分が優れているとかは言わない。世界に心を開き「サンキュー」の声を聞いたかのように(じっさい聞いてるんだろう)「どういたしまして」っていう。すごいよね!


 スケールが違う。

「オレ様のおかげ。もちろん知ってる。どういたしまして!」

 そういう歌なのだ。

 聞いていると、胸がいっぱいになって、自分がうれしいのか、哀しいのかがわからなくなり、自然に体が動き出し……そわそわとして落ち着かない。


 その姿を見たことがなくても、これは偉大で、すばらしい神様のラブソング。あまりに大きくて、立派で、陽気で、無邪気で、威厳すら漂って、もう涙が出てくる。

 しょせんアガペーなんて、人間のわたくしには人知を超えているように感じる。

 だけど、「素晴らしい世界よ、人々よ、愛しているよ」

 こんなふうに言えたら、その人は神の領域に達していると思う。


 決して厨二とかではないんだ。背伸びなんてしない。「等身大で偉大」な神様。

 泣きたくなくても泣ける。いろいろ考えたが、理解してないうちは、混乱するし、実際マウイは「偉大な神に出会って混乱しているな。かわいいね。人間は昔から変わってなくてうれしいよ」と歌っている。そのとおりなのだ。

 この歌を聞くと幸せだ。マウイが好きだ。

 大好きだ……。


 どうして人間にすぎないディズニーカンパニーがこんな歌をつくれたのか。神の愛を入念に研究しつくしたに違いない。歌い手もすごい。なんて感動的な奇跡。


『モアナと伝説の海』はまだ観ていないのだが、マウイの立ち姿をジャケットで見ると。堂々たる姿だ。

 威厳はあるが、威圧はしない。自分が真にすばらしいことを知っているから、チンピラのようにすごんだりはしない。なんて素敵! 


 昨日はエンドレスリピートでそわそわして眠れず、眠るときは小さな音で聞いて、朝起きたらすぐまたエンドレスリピート。身体の悪いものがみんな出ていくような心地がする。

 マウイ、マウイ。

 大好きだよ。大好きだ。



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