第69話あわわ……「おっぱいが痛い!」

 昨日の午後に三児の母となった妹宅からTELがあって、母が出た。






 死にっそうな声で、妹は「おっぱいが痛い……」とSOSしてきたそうだ。





 子供を産んだことのないわたくしからみれば、なにそれ、聞いたことない、という感じ。





 妹は乳児を抱えている。そしてお乳が乳腺につまるといけないので、乳製品の過剰摂取はさけていたという。





 しかし、うっかり、ちょぴっと、飲み物にミルクを垂らして飲んだら、てきめんにつまってしまったもよう。





 それがとても痛くて、お産の痛みとはまた違って、始終痛い。ちょっと触れただけでもう痛い、というものらしい。





 かわいそうでね。





 母がとるものもとりあえず、孫たちの面倒をみるためにかけつけたってわけなのよ。





 ま、乳腺炎というのは、病院へ行って診断されたものなんだけど、妹ちゃん、38℃の熱まで出しちゃって。ロキソニンを処方された。





 普段、薬物に頼らない生活をしているため、薬はすごくよく効いた。でも今日の朝も熱はあったって。母は朝から孫の面倒をみるために(以下省略)。





 そんな中でも母は、孫のかわいいことを織り交ぜて語るから、悪いけど面白い。





「Y君が、ねえねがくれたコロコロ(雑誌)に見入ってて、一月号はないの? って聞いてきたから多分あるんじゃないって言ってきた」





 とか。





「弟君のKくんが、水を飲むときに冷蔵庫を探っているから何かと思ったら『お水にホットレモン(製品名)を入れるの』って言ったの。味がわかるとたい。あとご飯のとき、食欲がなくて、まあその前におやつを散々食べてて(略)ご飯をころころする奴をもってきて、自分でころころして作って食べてたわ」





 とかいうのである。





 見たかった~~。





 ただでさえ、オタク趣味丸出しなお兄ちゃん、幼稚園児にして漫画に目覚めたカ!


 


 自立心旺盛だけど、ほんの少し寂しそうな風情を醸している弟君、ママがいつもつくってくれてるのであろう、ころころ(中に米飯を入れて軽く振ると、小さなお結びが三つ造れる機械)でころころする姿を見たかった!





 かわいい、かわいい!





 ピンチの時にこそ、個性が表れるものだなあと奇妙な感慨を抱く。





 ちょっと不思議なのが、二人ともママがピンチなのに、慌てず騒がない。お利口さんである。しっかり親子の絆を感じた。


 まあ、とりもってるのは母かもしれないんだけれどね!




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