第25話強迫観念はダメ

 昼間から頭が痛くてへばっていた。そして考えていた。

――ラノベを読まなくては。

 今、読まなくてどうするのだ、と……。

 だが、それは過ちだった。入浴してリラックスしてソファに寝ると『自動』にセットされたエアコンが快適で、『弱』に合わせた扇風機の風が肩口にそよそよと心地よく……。

 そうだ、わたくし――休みたかったんじゃないのか? こんなふうにのんびりと身も心も安らぎたかったんじゃないのか? 

 だいたい、読まなきゃ、読まなきゃと思うほどペースは落ちてきてるし、目が痛いというのに休まず読み続けると言うのは――強迫観念に近いんじゃなかろうか?

 藤咲あゆな先生は言っていた。「一日休めば、それだけ他に遅れをとる」と。しかしまた「休むのなら――」どうしろと言ってたっけ?

 こんなふうに己を振り返る機会でもなければ、わたくしはまた機械のようにただただ書物を「吸収」も「消化」もせず「浪費」していたのではないだろうか?

 そんなのは嫌なので素直に本能に従おう。


 頭痛いんだ! →休憩をとれ。

 目が痛いんだ! →休憩をとれ。

 なんか隣の客室の暗闇が怖いんだ! →だから、休憩をとってと言っている。


 そんな感じの貴重な一日だった。

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