第10話雑談の効用

雑談が大切、という話。



「なんで大切なの?」



「女の人の井戸端会議なんて、はたで聞いてて面白いもんじゃない」



「けどこれが大事なんだなア」



「うん、何年か前に雑談のルールっていう本を買ったねえ。半分くらいは読んだっけ」



「たかが雑談が、個人どころか会社まで変えるっていうんだから、あなどれない」



「あなどれない、アドレナリン、ピープシュー=3」



「今日は雑談の基本の項目を読んだんだ」



「よっ! なんか面白い話して!!」



「またまた、雑談苦手なんだから。知っててやるんだから、コノヤロウv」



「雑談て緊張する」



「まず、雑談をしよう! って思うところからバリバリに背中痛くなる」



「うん、テーマのない雑談って、つきつめればいいのか使いどころのないネタの放出場なのか、わからないよね」



「基本読んだんだあ。どうやんの?」



「うん、まず相手に会釈して」



「その前に挨拶じゃないの?」



「会釈の後に微笑んで相手と目を合わせるんだってば」



「なんで? おはようって挨拶して目が合ったら本題、でいいんじゃないの?」



「ダメダメ。目を合わせたら、ご挨拶して」



「それで?」



「『今日はお天気が良いですねえ』と、その時思ったことを切り出す」



「そこまでいうんなら、じゃあやってみてよ」



「うん。どうでもいいけど『相棒』の水谷豊さん、会釈するときから「ふふっ」って言いそうな笑顔浮かべてるよね。あれ見ると、「なにかしでかしてやりました」って言いそうで、こちらもふふって笑いたくなる。イギリス紳士ってああなの?」



「本当にどうでもいい話だった」



「まてまて、これからだってば」



「もういいよ!」



「雑談うまくいくように例文が載ってたから、それをもとに雑談、やってみるよ」



「ああ……」



「ある昼下がりのことだったんだけどね……クーラーの効いた部屋でぼうっとしてたんだけど、蝉しぐれがすごくて、とても昼寝もできやしない。気がついてカラーボックスの中を覗いたら、当時興味ぶかくて買い込んでおいた本が十冊くらい、並んでる。で、わたくしはこの一冊を選んだんだけどね。(雑談のルール)いまどき社会やら会社やら人心掌握で雑談しようと思ったら、気を遣ってしょうがない。思ったら、白い扇風機のそよそよという風を受けながら、ソファでうたたねしてたんだ。気持ちよかったよ。それでね、こう思ったんだ……雑談て、気持ちよく寝るために、ひどく重要だなアって……」



夜眠れない方に、ぜひ! ザッツ☆ダーン!!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る