音を探して

栞奈

第1話 消えたのは基準音

「じゃあ練習始めよー!」


私、月村 かなめは吹奏楽部に入っていて、こんどの定期演奏会はなんと70回目!みんなに素敵な音色を聴いてもらうために、一生懸命練習してます!私の楽器はトーンチャイム。初めてやったけど、すっごく綺麗な音がするの!演奏中に私のソロパートがあるんだ。そのときが私の見せ場!しっかりやらなくちゃ!


「1・2・3はいっ!」


合奏が始まった。あー、いつ聞いても綺麗な音色だなー。最初はトライアングルとソプラノリコーダーのパート。すこしうっとりして聞いていたらいきなり音が消えた。


「おえっふ!?どうしたの?」

隣にいたゆうに聞いてみた。

「ギターがいきなり鳴らなくなったんだよ。次の伴奏に入ろうとしたんだけど...。要のはどう?」


私は手首にスナップをかけてトーンチャイムを鳴らそうとした。


「あれ?音が鳴らない...」


おいおい、これじゃなにもできないじゃんか...。


「私のは鳴ってるよ?」


アルトリコーダーを持った夢子ゆめこが低いシを鳴らしてみせた。あ、もしかして低い音なら鳴るのかも?私の持っているトーンチャイムはド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの基準音だ。


「おっ、俺鳴った!」


しょうが高いドの音を連続して鳴らしてはしゃいでいる。高い音も鳴るのか...。じゃあ消えた音はド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの基準音たちだけかな?


「ん?これなんだろ...。かなちゃん来て来て!」


亜弥あやに呼ばれていってみると、そこには音符が浮かんでいた。なにこれ。光ってるし、浮いてる....。もしかしてこれ、消えた音?


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