ドSな勇者と召使な幽霊
阿房饅頭
第1話 オンボロアパートにて、出会う幽霊
ブログ連載分をアップしていきつつ、ストックが尽きたら、最後迄ってところでしょうか。
もしかしたら、ブログ連載で終わる可能性もありますが。
************************************ 今時、築50年の木造アパート2階建てというのはなかろう、と
「無いな」
「何が無い? 修也」
修也がふっと横を見ると無精ひげを生やしたさえないおっさんが覇気の無い声でそんなことを言ってきた。
「何でもないよ。
「お前、ココのアパートの管理人だが喧嘩売ってないか」
「売ってない。せめて、管理人が美人のお姉さんだったら良かったな、とか、そんなことも思っていない」
「・・・・・・お前、心の中だけにしておいたらいい事をどうして、言うんだ。麗香姉さんはどうして、こんなクソガキに息子を育てしまったんだ」
賢叔父はため息をつき、肩を落として青筋がまるで見えるくらいに落ち込んでいた。
「面倒な大人だな。もう、40歳だろ」
「俺はまだ、35歳だ!」
「四捨五入すれば、40歳」
「あーいえば、こう言うって言うのを本気で思うとは思わなかったぞ。もーいい。俺の部屋に来い。くそガキ。昔はかわいげが・・・・・・なかったな」
賢叔父は余計な事を思い出したとばかりに苦いものを食べたような顔をして、ため息をつく。
「そんなにため息ばかりつくと幸せが逃げるぞ」
「もういい。そんなことよりもお前の部屋の鍵だ。部屋はお前の母さんと話をしたとおり、2階の201号室だ。ちなみに本当にいいのか」
「201号室で? か」
「そうだ。201号室だぞ」
念を押すように賢叔父は繰り返し言ってきた。
心配しているのだろう。いくら憎たらしいとはいえ、血のつながった姉の息子に対して、何も思わないことはないだろう。
「噂だろ」
「噂だがな。201号室は数年前に俺の死んじまった爺さん、つまり、お前の曾(ひい)爺さんから受け継いだがその頃から幽霊が出るって噂が立って、誰も住まなくなっちまったんだが」
「それが? 俺にはどうでもいいことだ」
修也にとってはそんなことは本当にどうでもよかった。ただ、ボロいアパートに対して、変な奴が侵入しているだけだろうからそんなのは返り討ちにしてやろうと思っているぐらいなのだ。
「まあ、俺もそうは思っていたんだが、見ちまったからな。白いおぼろげな顔をした赤い髪の女の子を」
「顔を近づけるな。中年男の顔なんて汚いだけだ」
「何かもう、どうでもいいな」
「そうしてくれるとうれしいよ。賢叔父さん。あと、離れてくれ。吐きそうだから」
「はあ。わーった。早くお前の部屋に行け。あと、家賃は5000円。仕送りは1万円と家賃だけだったな。バイト先を俺がいくつか知り合いから見繕っているから、面接に行く日を決まったら教えてやる。しかし、お前みたいなクソガキがバイトなんて出来るのか」
「できるさ。高校の学費は親が出してくれるんだから」
「ほんとか? 大輔さんが海外出張するからって言うから、麗香姉さんが一緒についていくっていうからさ。てっきり、一人息子のお前もついていくと思ったら、独立するとか言ってここだよ。修也、お前本当に大丈夫か」
修也の父、大輔は海外貿易の仕事をしており、海外出張が多かったが短期出張が主だった。しかし、今回は支社の立ち上げをしなければいけないらしく、長期になるらしかった。
その為、母親が家族3人でアパートを借りて一緒に住むと言い出したのだ。だが、修也は日本に残ると言い出したのだ。
もちろん、喧嘩になったのだが、妥協点を決めて日本に残ったのだ。
その条件がこの賢叔父のアパートの201号室、いわくつきの幽霊部屋に住むこと。学校の学費は出すが、仕送りは1万円と家賃分の5000円。
根を上げたら、一緒に住む。
まあ、無理だろうと両親は思っているらしいが、修也には自信があった。
「問題ない」
だからこそ、その一言で一人暮らしの話題を切り捨てて、2階の階段を上がった。
カンカンと鉄の音がして、新鮮な感じがした。前の分譲マンションとは違って、不安な感じのする音だが、ここに自分は住むのだとしみじみと感じる。
表札に201号室と書いている。
さあ、自分の部屋だ。
自分の部屋のドアノブの鍵穴に鍵を入れてまわす。
カチッと小気味よい音がして、ドアを開ける。
そこには板張りの廊下と奥は6畳間の部屋と少しばかりのダンボール。
あとはちゃぶ台とせんべえざぶとん。
最後に
――淡く燃える赤い炎が見えた。
ふと、そんな誌的な事を修也は思った。
が、普通に赤く燃えるような少女がそこにいた。
――スポキーを食べながら。
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不定期にアップするとは思います。
出来る限りまったりと上げていく感じで。
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