なにか描きたかった
@inugami29
7月23日 晴れ時々曇りのち雨 1
今、こうして日記を書いているのはスランプに陥っていることが原因だ。私は、抽象画(モノ)を創造することに取り憑かれた人間で、そのためならばこの命は惜しくはない。たとえるなら、これから妊婦が産婦人科の医師と共に新生児を数多の方法で出そうと苦痛に呻き踠き苦しむ思いで日々の生活を苦痛に歯噛みし、精神科にでも行けば確実に病であると診断されそうな、そんな気分で今を生きて創造することに常に頭を働かせている。なぜそんな思いをしながらも今こうして日記を書いているのかって? まずは、その質問に答えよう。前述にもあった通り、スランプに陥っていたある日のことだ。私が夕飯の支度を終えテレビを点け、好物であるトマトに舌鼓を打って楽しんでいた時、(実際は、楽しくだなんて思ってはいないが)寂しがりな私は何気なくテレビのチャンネルを回していた。画面には、各業界の今もっとも活躍している有名人へのインタビューコーナーが始まっていて、そんな子供と夢も希望もなくした無気力で怠惰で傲慢な人間を自発的に動かし、そこから経済的な面で金をむしりとろうなどと促そうとする社会の縮図の片棒を担がされる客寄せパンダ役を買って出られるような番組は私にとってこの世で反吐が出るほど嫌いでそんなモノに目を通すまでもないと思い(実際、行動を起こそうともしない愚か者には無きに等しい番組でしかないが)チャンネルに手を伸ばすと聞き覚えのある名前がテレビ画面を通して私の耳に入ってきたのだ。「まさか、そんなワケがない」と最初は同姓同名の人物であるだろうと疑心に駆られ伸ばした手をリモコンから離しそのつまらない番組を見ることにした。すると、記憶の片隅に残っている見慣れた大学の風景がダイジェストとして流され意識が懐かしい物思いに耽入りそうになるのを止め。その場所が過去に私が古き懐かしき縁のある美大であったことに思わず胸が躍ってしまった。
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