踊る少女と自称天才少女の建国記
十之
第1話
土すら焼けるような日差しの中で。
少女は踊る。
優しいスローダンス。
ステップを刻む。
少女は一人。
笑って踊る。
優しいスローダンス。
ステップを刻む。
また始まる舞台に向けて。
足を止めることなく。
踊る。踊る。
軽やかに。
踊る。踊る。
笑顔を張り付けて。
決して足を止めてはならない。
少女は罪人だから。
決して泣いてはならない。
少女は資格を持たないから。
どんなに辛くても笑って踊る。
暗くて眩しい明日に向かい。
優しいスローダンス。
ステップを刻む。
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幼い私は太陽のような子供と言われていた。8歳の時までの私は出会った人間とすぐに馴染み、人の輪が出来れば常に中心にいる……そんな子供だった。
大勢の中にいても一人、一人の表情を見極め、つまらなそうにしている子が居ればその子が楽しむような話題を振る洞察力の優れた子供だった。
お茶会も楽しい。
キラキラしたダンスホールで皆と踊るのも好きだ。
皆、大好きだ。
小さいが希少な鉱石が採れる豊かなオルブタリアという名の国の王女だった。8歳とはいえ地位や権力に惹かれて集まってくる子供達が多いだけ……っていうのもあるが私は私の元に集まってきてくれる皆が大好きだった。
好意を持ってくれる人も、悪意を持っている人も関係ない。
皆、大好きだ。
運動神経がよくて、魔法も得意で、かわいくて、完璧な私。
ニッコリと太陽のような笑顔で笑う。
将来は、宗主国の皇子の側室になる事が決まっていたので自国の特産品のアピールの仕方から世界中の有名な貴族の名前と派閥まで覚えるように教育を受けており大変だった。
でも、皆が褒めてくれるからがんばれる。
賞賛の言葉を、傲慢でも、思い上がりでもなく受け止めていた。
勿論、悪意をぶつけられる事もあるけどそれを真摯に受け止めまっすぐに向き合っていた。
お父様も、お母様も、お兄様も皆が優しくてお日様のようなポカポカした家族だった。
8歳の時の私は素直に人が好きだったのだ。
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