魔王に奪われたモノを取り戻す物語
狼狽 騒
プロローグ
「くそっ……何でだっ……何でだよっ!」
少年は叫ぶ。
悲しみで張り裂けそうな気持ちを隠さず、嘆きの言葉を止めどなく流し続ける。
少年は一人ではなかった。
少年は少女を抱えていた。
腕の中にいる少女は、まだあどけなさが残ってはいるものの、長い睫、艶やかな唇、整った容姿など、非常に魅力的な少女であった。
その少女は、少年が叫び声を上げても微動だにしない。
胸をゆすっても。
胸をさすっても。
胸を撫でても。
少女は微動だにしない。
かといって、少女はどこか傷ついている様子でもない。
眠っているように傍からは見える。
実際に直に左胸を触った際に鼓動があったことを少年は確認済みである。
「何でっ……どうしてっ……」
悲嘆の声は鳴り止まない。
少年の手に力が入る。
平たいながらもささやかな柔らかさ。
一回。
二回。
三回。
右。
左。
頂点。
周辺。
服の上。
直。
だが、駄目だった。
ここまでしても駄目。
きっと何をしても駄目なのだろう。
少年は自分に絶望する。
少女の胸を弄りながら、少年は悲鳴を上げる。
「どうして興奮しないんだああああああああああああああっ!」
その少年の股間は平坦であった。
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