第3話 セイヴァー
部隊は解散し、皆それぞれの場所に戻る。動きの早いマウスを撃ち落とすからか、年齢が低いものが多い。国語の青山先生もまだ三十になったばかりだ。それで部隊長である。
校庭では正規戦闘員ではない戦闘員が
その上マウスの攻撃レーダーを受け止める盾まである。これの開発にはかなりの時間がかかったみたいだ。受け止めると言っても立て続けには無理なのと、開発に莫大な費用がかかるためこの素材はセイヴァーの盾と一部軍の軍事施設のみにしか使用されてない。人類はマウスの撃退にのみ心血を注いで開発に取り組んできた。
「暑いなー! 薫。お疲れ様! 腹減ったな! 学食再開いつかな?」
健太郎がこっちに来て言った。さっきまで戦闘中だった。他の者も地下にいたので全ての時間はさっきの警報から止まっている。
「お疲れー。東出君! 今日のマウスすごい多かったね」
「ああ」
暑さと寝不足と空腹でぼうっとしていてすごいチャンスを逃してしまった。ああ、もう俺に声を掛けてくれた南は先に行ってしまった。
「お前、マヌケだなあ」
健太郎が俺の肩にタックルしてくる。健太郎、お前のその元気はどこから来るんだ。
「うるさい。腹減ったー。それに眠いよ。眠い」
「そうかー。それでさっきは寝てたのか」
「うわ! 先生。いや、あれは……寝てないです。目を少しつぶってただけです」
青山先生の突然の出現に驚きしつつ、授業中の失態を隠してみる。
「そうかー。目をつぶってたのか。それは見てなかった」
あ、引っかかったよ。自白だよ。先生この状況で、生徒をはめるなよ。青山先生はそう言うと、もうスタスタ校内に入って行くし。
「薫、お前……もう同情するよ」
健太郎の目線。いいよ。どうせ俺っていっつもこうだよ!
せっかく同じ正規戦闘員になっているのに、さらに同じクラスになってもう数ヶ月経つのにほとんど南真冬とは口もきけないままだ。さっき話かけてくれたのが初めてのまともな会話だったのに。健太郎には南への俺の気持ちを何も言った訳ではないのに、すでに早くからバレている。ってことは俺を見てればわかるってことか。もしかして南も俺の気持ちに気づいてるのかなあ。
「おい! 食堂行こうぜ。再開しそうだ」
「ああ」
健太郎と一緒に食堂へ走って行く。戦闘員は食事がタダになるのだ。いつ食事ができるかわからないので弁当では困るだろうという配慮なのか、安い特権といったところか。中学生までは警報を聞くと弁当を持って地下に行ってたしなあ。地下でよく弁当を食べたものだ。上で繰り広げられている戦闘など想像もしないで。
自分の能力をときどき恨みたくなる。戦闘員は多いが正規戦闘員は多くはない。そこに選ばれるのはテストでかなりの得点を弾いた者だけだ。
親も俺が正規戦闘員に決まった時は不安が隠せなかった。が、俺の手前しきりに平静装っていた。父も戦闘員だが正規ではない。この違いはやはり格段にあるんだろう。最前線に正規戦闘員は立つのだから。
もう戦い慣れてしまった俺ら正規戦闘員には不安もなにもない。目の前の
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