総集編(ネタバレ)

「長い本文なんて読んでられっか!」

 といった読者の方々に向けた、総集編の完全ネタバレバージョンになります。これさえ読めば、本文なんて読まなくてもどんなお話か、すんごい短時間で済みますよ! 漫画原作のための小説だもん。こういうのだってできちゃうんだからお得だよね。本文を読む暇がない、あるいは「とんだ駄文ですね、よくもまあここまでつまらなくできたものです」って方はどうぞ遠慮なく著者を泣かせてください!


 本文の1/10程度の時間で済むかと思います。



* * *


 ストーリー


 現代日本を模したお祭りが、異界にて開始しました。

 お祭りの主催者である神(笑)を名乗る少年によると、互いに競い合い、最後まで残った者を優勝とする趣旨のようです。

 そして、優勝すると、とんでもない報酬がもらえます。

 参加者たちを形づくった原型となる、人間界の罪が、消え去るというのです。

 参加者はみな人間の姿をしていて、人間の感情や心を持っています。しかし、彼ら彼女らは人間界の罪が具現化した存在。いわば、罪が擬人化した存在なのです。

 参加者たちは自身に由来する罪に関する、『異能力』を扱うことができます。それを駆使して、競い合うのです。

 能力の強さは、罪の大きさに比例します。

 よって、大罪ほど勝ちやすい仕組みですね。

 でもどうでしょう。大罪が勝ってしまえば、その罪が人間界から消えてしまいますよね。仮に『殺人罪』が優勝した場合に、人間界はどうなるでしょう? 誰も彼もが憎い相手を殺し、殺される世界ができあがってしまうというわけです。

 それを阻止しようと立ち上がった参加者がいました。

 なんと『殺人罪』が擬人化した少年です。


 彼は、人間界に影響が出ないほど罪の浅い者を勝たせようという発想に行き着き、行動を開始します。

 しかし開始してわずか数時間、いきなり謎の空間に放り込まれてしまいます。それは決闘という名の、お祭りのシステムの一環でした。

『詐欺罪』の男に騙され、『殺人罪』である主人公は窮地に追い込まれてしまいます。絶体絶命の主人公は男に向かって「くたばれ」と吐き捨てました。すると、男は絶命してしまいます。

 すでに絶命してしまった男は、こちらを馬鹿にしながらも丁寧に決闘について解説してくれていました。主人公は考察をします。

 そして、罪を起源とする異能力の殺し合いという結論を出します。この時はまだ、殺し合い以外にも解決法があることは知りません。


 主人公はとりあえず、自分のことを馬鹿だ阿呆だと思いながら、『詐欺罪』の話に出てきた、男によって肌着を奪われた少女に近寄ります。

 お祭りというだけあって、参加者たちの服装は浴衣で統一されています。主人公の袖にはいつの間にか、やわらかい布が入っておりました。女性の下着でした。それは詐欺罪の男の話のなかで出てきた少女のものと一致します。

 主人公は、少女に下着を返しました。

 根が真面目な主人公の性分なので、仕方がありません。

 すると少女はお礼を言ってその場で下着を穿こうとします。とにかくてんやわんやの大騒ぎに、主人公はなってしまいます。ついでに彼女は自己紹介をして自分が何の罪を起源としているのかも明かします。この決闘システムにおいて罪がばれることは能力や戦力をばらすことと同義です。自滅行為です。

 この普通ではない天然だか、すっとぼけ少女を引っ張って、人気のない茂みに移動します。


 そこで主人公は、少女にコードネームをつけます。彼女の罪は道路交通法違反で、

『みんなで渡れば怖くない』という固有名のようでした。短縮して『ミンコ』と呼ぶことにしました。

 彼女は実に楽しそうです。

 そして、彼女の罪の軽さを聞いて主人公は決めます。

 彼女を――ミンコを優勝させようと。人畜無害っぷりからの判断でした。

 主人公もまたミンコに自分の罪を明かします。主人公は『アキラ』と呼ばれるようになります。このミンコという少女がヒロインです。

 主人公は、自分の考える理想、理論、そして過酷な決闘システムを、ミンコに打ち明けます。

 その話を影から聞いていた男が、二人に襲いかかります。


 主人公の理論では、自分がミンコを護り切ることが前提となっています。しかし、突如として現れた偉丈夫はそれに疑問を投げかけます。

「本当に殺人罪である主人公が最強なのか」と。

 主人公は自分の考えが甘っちょろい机上の空論だと気づきます。

 それを試すかのように、偉丈夫は主人公たちに決闘を申し込みます。

 決闘をするにあたって、偉丈夫から二つの『規約』が提示されました。規約というのは主人公に聞き覚えがなく、初耳でした。

 偉丈夫によると、決闘における制限事項のようなものとのことでした。その内約は

殺傷行為の禁止と、主人公だけでなくヒロインも参加させるというものでした。

 ヒロインのほほえましい励ましと、害意が感じられない偉丈夫をを見て、主人公はこの決闘を呑みます。

 結果として、主人公たちが勝ちます。純粋に主人公の能力と偉丈夫の能力差による勝利でした。

 偉丈夫は主人公のことを認め、仲間になります。

 偉丈夫の名はゴエモン。罪は『強盗罪』とのことでした。


 三人は、今後の方針を決めました。決闘は双方の合意がなければ成り立たないのでそうしないよう、会場中の参加者に呼びかけて回るというものでした。

 ちょうどそんな時、猛スピードで迫り来る男を発見し、ゴエモンが脚を引っかけてすっ転ばせます。無銭飲食をして逃げ回っているという男をいいように言いくるめ、

ゴエモンはこの男に警報を呼びかけて回るようけしかけます。どうやらゴエモンなる偉丈夫は、かなり頭の回転のよい男のようです。

 それとは別として主人公は、ゴエモンの知識の謎を問います。

 なぜ、ゴエモンが決闘について詳しかったのか。それは祭りの景品として配られている小冊子に書かれているとのことでした。

 仲間になったゴエモンに先導され、主人公とヒロインの三人は祭りの出店の数々を見て回ります。


 三人は射的屋さんにやってきます。

 チームでの参加という形で、射的に挑みます。

 最初はいくらやっても的に当たりませんでした。

 しかし、ゴエモンが何か気づいた様子でコルク弾を放つと、見事に命中しました。もう一度、絶対に当てる気がない無茶な体勢で撃っても、弾は当たったのです。

 それを見ていた主人公もさすがに気づきました。

 的を人に見立てて、殺すと念じながら撃つと、命中しました。ただし、的は粉々に砕け散ってしまいました。

 これは能力を利用した射的ゲームであると、二人は結論づけます。

 しかしそうなると、ミンコの立場がありません。

 ゴエモンは『強奪する』と念じながら撃てば的に当てられますし、主人公も同様に自分の起源を思い浮かべながら撃てば当たります。ただし、破壊してしまいます。

 ゴエモンは諦めようとしますが、主人公は納得がいかず引き下がりません。そしてチームという言葉に目をつけ、ヒロインとの共同作業を提案します。強すぎる主人公の能力を、弱すぎるヒロインの能力と合わせ、威力を調整するというものでした。

 それは成功し、連携という攻略法を見つけ出します。

 これには店主もびっくりしました。なにせ、店主でさえ知らなかった仕組みだったのです。

 三人は射的屋を後にして、また参加者への説得と、他の出店を見て回る作業に戻ります。


 三人が立ち去ったのち、誰もいなくなった射的屋の店主に声が掛かります。

 それが誰のものなのか知ることはできません。

 しかし、射的屋の店主は、それが誰なのか知っている様子でした。


 体感時間で数日が経過しました。

 主人公たちの計画は順調そのものでした。血なまぐさい決闘なんてものをする必要はなく、設営本部で『誰に優勝してほしいか』という署名を集めることにより、優勝を決めることができると、早い段階で判明していたからです。

 いわゆる、選挙のようなシステムでしたが、参加者全員が署名を行わなければならない制限がありました。それも同じ人を指さなければなりません。

 ですが、事は穏便に進み、『道路交通法違反』という文字が並びます。残りの空欄は主人公たちを除くと、三名ぶんでした。

 署名をした時点で、決闘の申し込みも受け付けもできなくなるとのことです。

 署名をすれば、決闘を受けることができなくなるという規約も手伝っての結果なのでしょう。参加者の大半はお祭りを楽しみたい立場のようでしたから。決闘なんて、端っからお断りというものたちが積極的に行動してくれたおかげです。

 主人公たちは、腕自慢の猛者を説得するには決闘でまず力を示したほうが効果的と判断したため、最後の最後まで自分たちの署名は保留していました。


 と、そこに、無銭飲食の男が再び現れます。あれからずっと駆け回っていたようで署名のことも知らなかったようです。事情を話すと、あっけなく署名をしてもらえました。残りは二名です。

 しかし、ここでとんでもない事実が解明されるのです。

 韋駄天男は、自己紹介をしました。名前は『チョッパヤ』で罪は『詐欺罪』ということでした。

 それを聞いて主人公は戦慄します。ずっと引っかかっていたもやが、取り払われたような気分と、吐き気に襲われます。

 その様子をゴエモンは不審に思い、ミンコは心配そうに見ています。

 ちなみに、ゴエモンは韋駄天男のことを『業務妨害罪』だと思っていました。

 主人公は、設営本部のお姉さんに詰め寄り、ものすごい形相で問いかけます。

『この道路交通法違反は、単独を指すものなのか』と。答えは、YESとのことで、とりあえず一安心しました。

 主人公は、もう一度、これまで自分に起こってきたことをゴエモンに話すと、彼も気づいたようでした。信じられない、といった様子です。

 そう、『詐欺罪』は主人公が最初に倒した相手の本性だったのです。

 つまり、同じ罪を起源とする参加者が複数いる、という事実が判明したのです。


 気軽そうなチョッパヤから、なにがしより渡してほしいと頼まれたという書状を、主人公たちは受け取ります。

 そこには、決闘を申し込む旨が書かれていました。相手はおそらく複数人です。

 署名の空欄は、残り二つでした。

 その二名が、最終決戦を申し込んできたと考えるのが妥当でした。

「同じ人数が相手なら、お二人が負けるはずがありません!」と、ミンコが、励まします。しかし、戦力の開き具合はいかんともしがたい状況でした。敵対勢力は他者を喰って能力を強化していくことができます。それに対して、主人公たちは自分自身の能力しか使うことができません。

 署名による優勝者決定とは異なり、決闘による優勝者決定の方法も当然ながら有効のままなのです。

 この事実が、主人公たちに重くのしかかります。

 書状の相手は、主人公たちのやり方を否定し、決闘による決着を望んでいます。


 書状からは、来なければ他の参加者を殺していくといった気持ちが濃く出ておりました。

 主人公たちは危険を顧みず、決戦に挑むことを決めます。

 そして指定された決戦場の広場にやってきました。

 二人の男が中央に立っているだけで、他は人払いでもしたかのように誰も居ませんでした。出店はこの広場には最初から一軒もありません。


 主人公たちの決戦がはじまります。

 敵対する二人のうち、一人は観戦を決め込むようです。

 主人公たちは事前に作戦を練っていました。ゴエモンがヒロインを護り、主人公がひとりで戦います。

 一対一の形になりましたが、相手もそれを望んでいるようでした。

 いくつかの規約を強引に呑まされ、決戦の火ぶたが切って落とされます。


『銃刀法違反』を起源に持つ男の、圧倒的な飽和攻撃に、主人公は防戦一方でした。あらゆる刃物と銃弾をさばくことで主人公は手一杯です。ヒロインを護るゴエモンも同様でした。

 しかし、主人公は一種の違和感から、敵の弱点を見破ります。

 弱点を見破られ、勝ち目を失った敵は……仲間であるはずの敵に殺され、喰われてしまいます。それを行ったのは傍観を決め込んでいた全身を白で包んだ男でした。


 同じ『殺人罪』を起源に持ちながら、正反対の思想と行動で主人公と敵はぶつかり合います。最終決戦です。

『銃刀法違反』までも喰らって己の能力にしたラスボスは余裕の表情です。彼の思惑はどこか他の場所にあるようでした。

 それが炸裂します。

 ラスボスは主人公たちを無視し、遠方からの虐殺行為に打って出たのです。それを阻止しようと動いた主人公でしたが、ラスボスはこれを待っていました。

 主人公の意識が仲間から外れた瞬間、ラスボスの凶弾が、主人公の横を通り過ぎていきます。

 ヒロインに当たるはずだった銃弾は……ヒロインには当たりませんでした。それは彼女をかばって突き飛ばしたゴエモンによるものでした。代わりに凶弾はゴエモンに命中し、彼は絶命してしまいます。


 絶命する前に、ゴエモンは主人公からあるものを奪っていきます。それは主人公が悩み、苦しんでいた『後悔』という感情でした。

 同時に、ゴエモンを倒し、喰らったラスボスを、後悔という今までにまったく縁のなかった得体の知れないものが、むしばんでいきます。

 ラスボスの動きから精細さが失われ、弱体化が進んでいきました。それとは逆に、後悔というくさびから解き放たれた主人公は、己の信念のために敵を打倒するという強い気持ちに覚醒していきます。

 どんどん強くなる主人公を、ついにラスボスはさばききれなくなります。

 そして……多大な犠牲を払った末にラスボスは倒れ、主人公たちは勝利しました。


 これにより優勝者が確定します。

 後味の悪い結果を招いてしまった主催者から、後夜祭の提案が発表されます。みなこれに賛同し、主人公とヒロインも参加するつもりでした。

 しかし……


 主人公とヒロインは、どこまでも青い謎の空間を訪れます。

 そこで待っていたのは、主催者の少年でした。

 少年からこの異界の真実と、お祭りに至るまでの経緯を聞かされます。

 それは懺悔のようでもありました。

 主人公とヒロインはいつかまたどこかで再会することを誓って別れます。

 お祭りの終演です。


 場所は変わって現代の日本です。

 そこには誰にも知られることのない少女の姿があったのでした。

 赤信号を無視して渡っても罪に問われることはない……かもしれません。


おわり。



* * *


 登場キャラクター紹介(簡易)


■主人公

「僕だけは絶対に優勝しちゃいけない! 人間界を滅ぼさせたりはしない!」

・殺人罪を起源として顕現した存在

・その内に秘める感情は『後悔』

・最上級の能力者だが、あまりに強力すぎる能力に悩まされることもある

・倫理観にあふれた好青年

・素直すぎる性格があだとなる場面も見かける

・黒髪、黒い瞳、黒い浴衣と、全身が黒ずくめ……それには理由があった

・理想主義な一面があり、単独では危うい感じもする


■ヒロイン

「わたしなんて、赤信号を無視して渡るくらいしかできませんよ?」

・道路交通法違反を起源として顕現した存在

・最下級の能力者であり、戦闘はまったくできない

・天然と、すっとぼけを掛け合わせたような、小柄でおとなしい女の子である

・主人公たちは彼女を優勝させて、人間界への被害を軽減しようとしている

・足手まといな自分を助けてくれる仲間たちに対して引け目を感じているようだ


■準主人公

「理想を語るのなら、理想に見合った力を見せてみせい!」

・強盗罪を起源として顕現した存在

・上級の能力者

・知恵者であり、主人公の理解者であり、先導者でもある

・正論を貫く性格で、しばしば主人公と衝突することも?

・彼抜きでは、主人公の理想は成り立たないだろう


■キーパーソン

「金なら持ってねえぞ!?」

・無銭飲食(と誤解している)を繰り返し、猛烈な勢いで会場を駆け回る謎の人物

・彼を利用して、主人公たちの主張と警報を、参加者たちに呼びかける

・彼との再会が物語を最終局面へといざなう


■準ラスボス

「とても美しい闘いを見たのです」

・銃刀法違反を起源として顕現した存在

・最上級の能力者であり、主人公を苦しめる……が、弱点は意外なところに?

・律儀な性格

・ラスボスに傾倒している

・彼の最期は本望だったのかもしれない


■ラスボス

「殺人こそ最高の快楽を味わえる遊戯ではないか!」

・主人公と同様に殺人罪を起源として顕現した存在

・その内に秘める感情は『快楽』

・無論だが、最上級の能力者である(仕様上、主人公を凌駕する戦闘力を保有する)

・悪逆非道

・弱者をなぶり殺し、その仲間の絶望を眺めることに、快感を感じるらしい

・主人公と同じ容姿、同じ体格だが、全身は真逆の白を基調としている

・自分自身をいっさい悪く思っていない性格が反映しての色である

・主人公に対して並々ならぬ想いを抱いていたようだ

・いったいどうして主人公との戦いを望むようになったのか……は本編で!


■主催者

「ぼくの主催するお祭りは楽しかったかい?」

・彼の口からこのお祭りに関するすべての真実が語られる……

・この異界とは?

・人間界との関連性とは?



* * *


 設定(簡易)


・お祭りの参加者たちは、罪を擬人化した存在である

・便宜上、擬人化という形をとっているが、『人間』そのものと言っていい

・自分たちの起源となっている罪に関連する『異能力』を扱うことができる

・異能力を用いて、このお祭りを終演に導くことが目的

・お祭りは現代日本で見かける、普通の常識的なものとして考えていい

・ただし、出店はすべて無料

・広大な土地、というか空間を使用している

・参加者は全体で一万人ほど

・『決闘』について行動的な個体は全体の一割ほど

・残りはみんな適当に遊んでる(飲み食い自由! ぜんぶ無料だ!!)

・一万人を飽きさせないほど出店がある

・出店には、異能力を用いて攻略するものが多数ある

・出店を攻略するとポイントが加算される

・ポイントを消費して、景品を設営本部で交換することが可能

・景品は、お祭りの攻略をより優位に進められるものが、そろっているぞ!

・景品の内容によって、獲得に必要なポイントは異なる

・血塗られた決闘によってもポイントを獲得することができる

・これらのポイントは共通のものとして扱える

・他にもお祭りを『より楽しむ』ことで様々なポイント獲得法が存在する

・景品は戦況を大きくひっくり返すほどのものは、ない

・つまり、潜在的な戦闘力を景品の力でくつがえすようなものは、ない

・署名によって優勝者を決めることができる(主人公サイド)

・血なまぐさい決闘によって優勝者を決めることもできる(ラスボスサイド)



以上、総集編

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