月曜日たんたちと暮らす日常

加賀山かがり

 

Sunday's night & Prologue

今日が終わるということはつまり今日が始まるということ

「もうホラ、そろそろ日付変わるから、早く寝ようぜ?」


 ベッドに腰かけた俺にまとわりついてくる小さな妖精さんをあやすように宥めすかす。

 特徴的なオレンジ色の頭がこっくりこっくりと、舟をこいでいた。


「うぅん。わかったー、また、ねー」


 どうやら分かってくれたようで、部屋の壁にぴったりと背中合わせで設置してある小さな棚の上に乗せてある『妖精盤』と呼ばれる彼女たちの家へとすぅと帰っていくのだった。

 その後姿を見届けてから思わずため息を吐き出しまう。


「はー、やっと寝てくれたよ。ふぁぁぁ、俺もねみぃし明日も学校だしもう寝よ……」


 眼鏡を外せば、噛み殺しきれないほどの強烈なあくびが喉をついて出てきた。

 やべぇ、コレ涙が……、零れる。

 それからベッドの近くにある勉強机へと眼鏡を置いてそのまま消灯する。

 いくら俺が眼鏡をかけているからって、流石に自室が暗くてこけたりはしないんだぜ?

 くるまったタオルケットの中はなんというか、少し蒸し暑かった。

 まぁ仕方ないか、今はもう梅雨真っ最中で、今も外はじっとりとした雨が降っているものな。

 明日の朝は……、心配するだけ無駄か。

 いずれにしても朝っぱらから騒がしくなるのは避けられないけどさ。



 懐かしい夢を見た。

 それは俺と彼女たちの初めての邂逅の瞬間の夢だった。

 懐かしいし、よく覚えている。


 暗い蔵の中、埃っぽくて、だけど小窓から差し込む光が輝いていて、当時は知らなかった言葉だけれど、なんとも趣があったと思う。

 そんな蔵の中を幼いころの俺はせっせと掃除なんぞをしていたんだ。

 そこで見つけた。七角形をした不思議な盤を。


 思わず触りたくなって、そっと手を伸ばせば、わぁっとまばゆい光が放たれて、それは俺さえも包み込んだ。


 その時から俺はずっと一緒にいる。

 七人の妖精さんたちとずっと一緒に暮らしているんだ。


 これは俺こと、木村きむら修一しゅういちと七人の妖精さんたちとのとある日常の物語。


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