時計台の太陽
本田育夢
全編の粗筋(670字)
【一】
祖父の危篤を知った「僕」は地元の町へ里帰りする。連日の町の天気は霧雨で、「僕」はうんざりする。
町は豊穣を祈るという名目の祭りの準備期間であり、「僕」は面会の時間以外は労働力として働かされる。祖父の町での評判はあまりよくなく、町の人の目を気にする「僕」はしぶしぶ働く。
町の様子を見つつ、祖父のことを「僕」は振り返る。祖父は「僕」に対し、「人生を確かなものにする存在」について問いかけた。幼い「僕」はそれについて明確な答えを示せない。
祖父は自分にとっての「時計」にあたるものを、「僕」が見つけられることを望んだ。
【二】
仕事終わりに「僕」は祖父の工房がある時計台に行く。父と話し、時計台が祖父の死後に取り壊されることを知る。
その晩、祖父は亡くなる。
祖父は亡くなる直前に「僕」へ件の「人生の支え」が見つかったかを問う。「僕」は何も分からない、と弱音を吐く。祖父は老体からは考えられない迫力を纏い、「時計台から朝日を見ろ、お前が生きるために役立つ」と言い遺す。
その晩は酷い嵐になる。僕はこの嵐が時計台へ行くべきだということを指し示していると感じる。
【三】
翌早朝、「僕」は時計台に上って日の出を見る。
太陽はただそこにあるだけで、圧倒的な存在感で人々を無意識の内省に導くのだ、と「僕」は感じ、そのなかで「支え」・「儀式」となる何かのヒントを掴む。
「僕」の自殺を危惧した人々が時計台にやってくるが、「僕」は生きていることを大声で伝える。
「僕」は「鮮烈な感動と強烈な威圧」の記憶と、祖父の形見であるルーペを持ち、時計台から去る。
「僕」は生きるために時計台に来たのだから。
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