後日談

それから、さらに数週間が過ぎた。

 あの日以降、俺に代わりアヤメが千咲の新たな練習相手として標的にされることになった。おかげで俺は『送り吊り落とし』の刑に遭うことも無くなり、平凡平和な高校生活を送れるようになったのである。第一志望の京大目指し日々学業に専念中。

 ちなみに千咲、本当の性別は知っても、アヤメのことを以前と同じく女の子として扱っているみたいだ。

 ついでに五郎次爺ちゃんはというと未だ、いやアヤメが来る前以上に俺に相撲界入りを熱心に勧めてくるようになっていた。相撲にはライバルが必要だということで、昭和初期の双葉山と玉錦のような関係をアヤメと共に目指し、新たな一つの時代を築いて欲しいとのことだ。俺には絶対無理だ(笑)。すまねえ五郎次爺ちゃん。

 アヤメに対しては男の子だと知ると、それ以降は五代横綱・小野川の下の名前『喜三郎』と呼ぶようになっていた。しかしアヤメはその呼び名を嫌がり五郎次爺ちゃんまた拗ねる。けれども特製ドリンクは、アヤメにすごく気に入ってもらえたとさ。めでたし、めでたし。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る