3分間物語

みゅーと。

第1話

今は現代文の授業中だ。


そんな中で今、携帯を開いてる。


もちろん先生に見つかれば即没収だ。


だからちょくちょく先生を警戒し行動を伺っている。


そもそもなぜ携帯をいじっているかと言うと、ついさっきいい小説のネタを思いついたからだ。


それを忘れない様にメモするために開いた。

本当ならノートにでも書けばいいわけだ。しかし携帯を開いたことに関しては、つまり授業がつまらないからだ。


なんちゃらつかじろう?だかの「檸檬」という小説の解説をしている。


小説に解説なんてヤボなものだ。

作者が何を言いたいか、どんな気持ちが込められていたかを勝手に決めつけ、個人の受け取り方の自由を否定し価値観を一つに統一させる悪徳宗教のようなものだ。


なんてことを言っても、世の中一般の思想となにも変わりはないのだろうが…。



そんなわけで携帯を開いてみたはいいが、ディスプレイに表示された数字は「3%」。


この残量ではTwitterもロクにできない。


そうだ、前に登録した小説投稿サイト【カクヨム】でも開いて、電池が切れるまでひたすら今思いついた話を書いていこう。


3%の電池でいったいどこまでもつのだろう。


そんなことを思いながらもスマホをフリックして文字を打っていく。


右上に赤く表示された「3%」のせいで物凄くせかされる。なんという威圧感だ…!!


目の前にヤンキーが現れたかのような緊張感だ!!



いやそれだけではなく先生の視線も気にしなければいけないなんて、この緊張感はまるでスパイ映画の主人公のようだ。


自分のことを潜入捜査官とすら思う。

バレたら一貫の終わりだ。


今すぐミッションインポッシブルのbgmが流れてもおかしくない。



おっと、「bgm」ではなく「BGM」の大文字の方がいいな。



しかしその都度修正をしていたら先に進めない!

僕に残された時間はほんの少しなんだ!


いちいち治している余裕はない!

ってことで無視して先に進むことにする。


残された時間電池を無駄にしてはいけない!


ここは迷わずに先にすすむぞ!


しまった、こんなことを説明してる間に2%になっている!


もし打っている最中で電池が切れたら今まで打ってきた分は保存されないはずだ。


それだけはなんとしても避けたい。


残り1%になったら、こまめに保存ボタンを押しては、編集ボタンを押さなければならない。


余計に通信もするから消費が早くなるじゃないか!


焦ると余計に誤字が多くなる。


もういまからは誤字があっても気にしないので読者の皆様よろしく✩︎


既に上の文で、「いま」がひらがらになったが仕方ない!


そしてまたひらがなという言葉を間違えた!


ええい!そんなこといちいち言ってたらきりがない!



気にしないスタイルで行きまーす。


にしても焦ってくると語尾がエクスクラメーションマークになるよね!


この表現以外で今私が味わっている、このいつ消えるか分らない緊張感を表現できるだろうか!?


伝わっているなら嬉しい!


…って、そんなことを読者に語りかけてどうするんだ、まるで西尾維新みたいじゃないか。


僕は嫌いじゃないです。

…っでそんなことはどうでもいい!


即興で文字を打ってるからどうでもいいことを言ってしまった。


まーこれぞリアルということで。


そんな事言ってたらチャイムが鳴った。


文字を打つことに集中してたら授業がおわることなんてすっかり忘れてた。


しかし先生は気にせず授業を続ける気だ。


毎回決められた範囲をやらなきゃいけない決まりがあるのだろう、どうせ来週になるなら今やってくれて構わない!


そして別にもうそんなことどうでもいい!


なぜならこの話のオチを考えてない体!


いったいどう終わらせようか。


ああ、何も出てこない!!


とっさに流れで書いてきたがここまで続くと終わらせ方まで考えないとだ!


最悪終わらせ方は後日考えて、完成系にひてから投稿でいいのだが!

だがそれではリアリティーたるものがない!


そんな事言ってたらもう1%じゃないか!


このままだとスマホの電源が落ちてしまう!


オチがない!オチがない!オチがない!



…!




スマホは落ちても、オチはなし。



おあとがよろしいようで。





電源を切ります。

《shutdown》

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3分間物語 みゅーと。 @musicdolphins

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