第2章14 「誰かの想い」

「ギギ・・・」


フィリアの記憶に現れたのは、ギギだった。


「お前が何でここに・・・」

「侑さん落ち着いて聞いて下さい」


俺は、少し違和感を感じた。

外見はギギでも、話し方や声のトーン等はギギではないと思ったのだ。


「お前は誰だ?」

「私は、ギギです。しかし操られる前ですが」

「操られる前?」

「貴方が戦ったのは、私が操られた状態での事です。もちろん簡単には解けない魔法です。なので今も生身の私は可笑しな魔法使いとして動いています」


状況が把握出来なかった。魔女の使いであるギギが何故操られているのだと。


「魔女の使いがそんな事必要あるのか?」

「私は魔女の使いではありません。勝手に操られ、勝手に従っているだけです」

「という事は、ギギも」

「はい、私も被害者です。侑さんと戦った記憶はあります。ですが止められませんでした」


俺はそれを聞いて、嘘かどうかは分からなかったが、でも嘘を言っている様には見えなかった。


「それで俺の意識下に入って来たのか?」

「勝手ながらで申し訳なかったですが、入らせて頂きました」

「この記憶は何故映し出されているんだ?」

「これは、私の記憶です」

「え?」


ギギの記憶?俺は唖然とした。


「ギギは、ここに居たのか?」

「ええ、王家の魔法指南者でした」

「つまり学校の先生?」

「そうなりますね」

「何か・・・悪い事聞いた気がする」

「侑さんが謝る事ではないです。悪いのは簡単に操られた私です」

「どうして操られたんだ?」

「普通に森を歩いていたら気が付いたらこうなりました」

「え?指南者くらいの魔法使いでも?」

「魔女はそれだけ強力です。だから救世主なんて誰も無理だと思うのです」

「それは否定出来ないけど・・・でも俺は救いたいんだ」

「何故、そこまでフィリア姫を?」

「ああ、いや・・・それは・・・約束したから」

「約束?」

「ちゃんとした生活に戻すって」

「叶う事を願ってます」


ギギは祈るように手を合わせ、俺にそう告げた。


「ギギも、救うよ」

「え?」


俺はとっさに言葉が出てしまった。

でもやっぱり見て見ぬふりは出来ないなと思った。


「ギギも、正気に戻れる様に俺が何とかするよ」

「侑さん・・・」

「だから諦めるな」

「有難う御座います。何だか救われました」

「お礼を言うのは、救ってからだよ」

「ええ、そうですね。侑さんそろそろお時間です。私は意識下を抜けます」

「ああ、ギギの正体を知れて良かった」

「私もお話出来て良かったです。最後に」

「ん?」

「魔女の居場所は誰も知りません。あの人は単独で動くお方です」

「そうなのか」

「しかし、側近が居ると噂が流れてます」

「ありがとう、頑張るよ」

「はい、ではまた」

「ああ」


そして俺は夢から目が覚めた。


「まだ止まるわけにはいかないな」


こうして、次の目標が出来たのである。


to be continued…

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