第2章8 「アルム村の悲劇」

俺達はアルム村に着いた。

徒歩で大体3時間くらいだった。

でも、そこにあったのは焼け焦げた家が立ち並ぶ光景だった。


「…」

「嘘だろ…」

「こんな事は想定外でした」


ココアも計算外な事態が目の前にあった。

これは、俺達が動いているという事に気付いてなのか、または別の事なのか。


「どうしてこんな酷い事を!?」


メルも、性格に合わず怒りを露わにしていた。

俺は、村人と思われる人物に話を聞いてみる事にした。


「あの、どうしてこんな事に?」


老人は、こう話した。


「それが、分からないんです…昨夜、急に燃え上って…村人に怪我人は居ませんが、復旧が…」

「申し遅れましたが、私はここの村長です」


取り敢えず、村人が無事で良かったと思った。

村長に俺達に出来る事は、無いかなと思った。


「俺達に何か出来る事はないですか?」

「でも貴方達、何か目的があってここに来たのでは?」

「ええ、俺達は情報屋を探しに」

「ああ、情報屋ですか。1週間前には帰られましたが、明日には来るそうです。しかし、宿がありませんね」

「いえ、野宿するので、今夜この村に居ても良いですか?」

「ええ、構いません。ごゆっくり休んで下さい」


こうして俺達は、翌朝まで休もうと思った。

キャンプ内で、ココアがある提案をし出した。


「侑、今夜は見張りを交代でしましょう」

「え?そんな必要ないか?」

「いや侑さん、ちょっと怪しいのですよ」

「怪しい…とは?」

「先程、メルが気付いたのですが、焼けた木材の温度が異常に低いのです」

「え?まぁ、冬だから急激に下がったとか」

「いえ、昨晩に火事があって夜中に消し止めたとしても、私達が来た昼間にはまだ熱が残ってるはずです」


そうか、この世界には冷却装置なんて無いから、自然で冷却するわけだから、確かに昼間だったらおかしい。今の時間帯ならもう低くてもおかしくないが。


「そう考えると、この村は…」


ココアが数秒黙った。


「この村は、魔女の配下に乗っ取られた可能性があります」


俺は、少し固まってしまった。

そうだ、俺達が戦おうとしているのは、魔女だ。

魔女は、俺達の情報に気付いたのではないかもしれないが、この事実を知ったと知れば、


「殺される」

「その可能性もありますね」

「だから侑、当番制で見張りましょう」

「ああ、そうしよう」


その夜、俺は見張りをしながら、自分が当番時に「襲われたらどうしようか」と深く考えてしまった。

でも、それと当時に「まだ始まったばかりじゃないか」と自分に言い聞かせた。

そんな事を考えていると、村長が俺に話し掛けて来た。


「あれ?眠れないのですかね?」


物凄い緊張が、その時走った。


to be continued…

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