第1章7 「バーンクロスのお姫様」
「俺はフィリアにちゃんと話して欲しい」
その俺の一言でフィリアは戸惑っていた。
「何の事ですか?侑」
「フィリアはバーンクロスのお姫様なんだろ?」
フィリアの顔がますます変わっていった。
「俺は別にお姫様事情とか知らないけどさ、フィリアがお姫様だと知ったからってどうもしないよ」
フィリアは表情を変えずにこう言った。
「友達のままでいてくれますか?」
俺は驚いた。フィリアはそういうのを恐れていたのだ。
俺がお姫様と知って離れると思ったのだ。
「お前、今まで辛かったんだな」
「え?」
フィリアはようやく顔を上げ俺の顔を見た。
「大丈夫、俺はフィリアの友達だ。言っただろ?ここまで来れたのもフィリアのお陰だって」
俺は続いてこう言った。
「それはフィリアがお姫様だから思った訳じゃないからな。1人の人間としてだ」
俺は凄くカッコつけて言ってフィリアにドヤ顔を見せようとした時、フィリアの顔を見たら泣いていた。
「フィ・・・フィリア?」
「侑は優しいのですね。私はもうこの事を話せば侑がどこかに言ってしまう気がしたのです。子供の頃からバーンクロス家の子供だから大人からは作り笑顔と見え過ぎた嘘が私を包み、同い年の子は私から離れて行ってしまうし・・・私はいつの間にか人と接するのが怖くなっていました」
フィリアは泣くのを我慢しながら俺にそう話してくれた。正直ようやく聞けた本音が嬉しかった。
「んでも俺はここに居る。それに何で俺は大丈夫だったんだ?」
「この国の事全然知らなかったので、もしかして身分を隠せば友達で居てくれる気がして」
「いや、そこじゃねーよ?最初」
俺が言いたかったのは最初に会った時だった。
その頃に俺の事知らないのに何で話し掛けて来たのか不思議に思った。
「最初は助けるつもりだったのですが・・・」
「その気持ちが無かったら俺はどうなってた分からないからな。その気持ちさえあれば大丈夫だろ?」
「侑…」
こうしてフィリアの心の中にあった不安を俺は取り除いた形になった。
「なぁフィリア」
「はい?」
「さっきエクスカリバーは作る品ではないって言ったよな?」
「ええ、レシピが非公開なので」
「ならオリジナルのエクスカリバーを作ってやるよ」
こうして俺は鍛冶屋で最初にエクスカリバーを作る事にした。
to be continued…
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