母さん、俺、女子校に入学したんだ


──翌日 AM 8:10



「そ、それでは本日より、この空院くういん女学院で共に歩んでゆく仲間を紹介致しぶふっ!」



 古めかしく、やや西洋調な講堂での臨時全校集会の中、壇上の生徒会長が笑いを堪えながらマイクスピーチを頑張っていた。

 眼鏡の似合う、大人っぽい美人生徒会長だ。



「か、かたり 龍士郎りゅうしろうです・・・・・・。母校崩壊につき、空院女学院のご好意で避難受け入れをしていただきました。色々問題もあるでしょうが、その、ヨロシクお願いします」

 壇上へと招かれた俺はマイクを通して自己紹介をした。


 うん、目の前の千人を超える学徒達がうつむき、プルプルと笑いを堪えている。


「女子校に男子」

「女子校なのに男子きた」

「ちょいイケメンきた」


 色々なざわめき声が聞こえてくる。

 脇に連なる教師達もなんだか笑いを堪えてる。


 うらむぜ『世界賊』。何このセッティング。


 女子の姿をとる事も出来たが、前にも述べた通り、そういった世界の流れにそぐわない力は世界の奇形を招く。そういった力を継続的に行使する事は、なるべく避けたいんだ。


 もういいや。笑えばいいよ。おかしいよねやっぱ。

 世界状況的に認められる事だとしても、女子校にいきなり男子が入学してきたらやっぱ、笑っちゃうよね。

 俺もひきつり笑うしかなかった。



──その時だった。



「おやめなさいアナタ達!」



 スピーカーから響く気品に満ちた声が、講堂内の学徒達を一喝した。


「──な、何者だ!」と、ナゼか生徒会長が恐れおののいた。



 講堂の後方、閉められていた扉がゆっくりと開かれていく。


 穏やかな外光を背に纏い、そこに立つのは高身長の美しき佳人だった。


 白く輝く長い髪。

 強化セーラー服の上に白いアーマーロングコートを羽織りたなびかせ、彼女はその消え入るように薄い瞳の色をゆっくりと解放する。

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