金髪とヒキコモリ

作者 秋口峻砂

7

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★★★ Excellent!!!

足りない私の脳味噌にもスッと入ってくる文章がとても好印象でした。

読んで第一に思った事は、挫折は人を殺すよな……という事。
人によっては「そんな程度で挫けるな」と言われてしまう事なのかも知れないけれど、そうじゃないんですよね。その人にとってはとても重大で、人間性すらも変えてしまうほどの事。
主人公は両親の死に対して、特別に何かを感じている風では無く、機械的で渇いた印象を受ける描写を見ると、感情の欠如も起こしているように思えます。主人公にとって、国立大学入学はそれほど大事だったのでしょうね。

そしてお兄さん。
両親の葬式にも顔を出さないお兄さんは非難される人物なのかもしれませんし、金髪というのは日本において毛嫌いされがち。私だって外で見かけたら避けて通るでしょう。
それに、どれほど弟の事を思って迎えに来たのかも、分かったものではありません。お兄さんだって暇じゃあ無いのですから、毎日弟を監視して「今日も外に出ていない」と確認する事なんて不可能です。そんな暇があるのなら両親の葬式にくらい出るでしょうし、お店は忙しいという描写もあるので「なんとなく引きこもっていると知っている」程度のものだと思われます。
それでも、迎えに来てくれた事によって、主人公はほんの少し、頑張ろうと思えた。この結果は間違いなくお兄さんの功績であり、立派だと言えるものだと思います。

インテリ主人公とロクデナシお兄さん、どちらの人間が優れているのか? というものは単純に比べる事は出来ませんが、両極の二人を並べてみると、これが人生の面白さなんだな……と、思わされる作品でした。