短歌、記憶帖

16

1

（句）

嘘よ嘘　あれもこれもと　駄々をこね

足踏みするも　我ひとりなり

（読み方）

うそようそ　あれもこれもと　だだをこね

あしぶみするも　われひとりなり

2

ふと気づく　家族楽しむ　バラエティ

内容笑う　たまに怖くなる

ふときづく　かぞくたのしむ　ばらえてぃ

ないようわらう　たまにこわくなる

3

相槌に　同じ仕草も　すると良し

妻に合わせて　たこの顔する

あいづちに　おなじしぐさも　するとよし

つまにあわせて　たこのかおする

4

透明な　青い椛の　紋入りの

ぐい飲みの底　酒はいずこか

とうめいな　あおいもみじの　もんいりの

ぐいのみのそこ　さけはいずこか

5

食い出ある　ものを食う　単純さ

妻の健啖は　うらやましきかな

くいである　ものをくう　たんじゅんさ

つまのけんたんは　うらやましきかな

6

見上げれば　駆けあがりたる　天の星

指でもがきて　掻き壊したく

みあげれば　かけあがりたる　あまのほし

ゆびでもがきて　かきこわしたく

7

花火どき　夕焼け空の　中みどり

溶け消えるのを　黙り見守る

はなびどき　ゆうやけぞらの　なかみどり

とけきえるのを　だまりみまもる

8

おのめきて　悲しみ浸る　友の前

何も言えずに　ただ肩を抱く

おのめきて　かなしみひたる　とものまえ

なにもいえずに　ただかたをだく