短歌、記憶帖

10

1

（句）

不思議あり　ひとつ尋ねる　盲人の

夢は果たして　色なしなのか　

（読み方）

ふしぎあり　ひとつたずねる　もうじんの

ゆめははたして　いろなしなのか

2

夢こころ　寂しきときは　下絵どり　

胸に秘めたり　絵の具使うと

ゆめこころ　さびしきときは　したえどり

むねにひめたり　えのぐつかうと

3

いい年の　夢追い人が　恋をする

夢色の人　無色と読む

いいとしの　ゆめおいびとが　こいをする

ゆめいろのひと　むしょくと読む

4

黄緑を　こんくれないに　染める蝶　

秋のたんぼに　浮かぶは椛

きみどりを　こんくれないに　そめるちょう

あきのたんぼに　うかぶはもみじ

5

上品な　餅にそっくり　頬と胸　

飴色の腕　交差する白

じょうひんな　もちにそっくり　ほおとむね

あめいろのうで　こうさするしろ

6

石を持ち　友の敵打つ　花子さん

と呼ばれし我　思い出浸る

いしをもち　とものかたきうつ　はなこさん

とよばれしわれ　おもいでひたる

７

親愛の　情深める　カレー出す

一晩おいた　忘れてないよ

しんあいの　じょうふかめる　かれーだす

ひとばんおいた　わすれてないよ

８

あの涙　染みてぼやける　黒子あり

慰めつつも　残る思い出

あのなみだ　しみてぼやける　ほくろあり

なぐさめつつも　のこるおもいで