短歌、記憶帖

森の 仲間

1

(句)

甘露玉 雨つゆはじき 肌脂  

みだれ黒髪 うつくしき人


(読み方)

かんろだま あまつゆはじき はだあぶら 

みだれくろかみ うつくしきひと



階段に 座りひとりの 膝小僧

窓の零れ日 緑の水浴


かいだんに すわりひとりの ひざこぞう

まどのこぼれび みどりのすいよく



風光る 醍醐の葉桜 梳き行けば

髪先の末 神のまにまに


かぜひかる だいごのはざくら すきゆけば

かみさきのすえ かみのまにまに



良き人に さらわれたまえ 我が娘 

可愛ければと 祈り育てる


よきひとに さらわれたまえ わがむすめ

かわいければと いのりそだてる



骨肉に 差し込む月の ひかりあめ

ぶくりぶくりと 肌はふくらみ


こつにくに さしこむつきの ひかりあめ

ぶくりぶくりと はだはふくらみ



だいだいの 太陽沈み 味わいぬ

奥歯かみしめ 甘露煮の空


だいだいの たいようしずみ あじわいぬ

おくばかみしめ かんろにのそら



指さすと もぞりと動く 脇の肉

美術館にて 真夏の少女


ゆびさすと もぞりとうごく わきのにく

びじゅつかんにて まなつのしょうじょ



北海の 地獄より来たる 赤蟹の

よく似た顔に 思うとこあり


ほっかいの じごくよりきたる あかがにの

よくにたかおに おもうとこあり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る