★★★ Q.お兄ちゃんは病気ですか? A.イエスッ! 治療は手遅れですっ♪ ★★★

相上おかき

プロローグ わたしのお兄ちゃんは病気です……


 血の繋がった妹が言うのは抵抗あるけれど。

 わたしのお兄ちゃんは、かなりイケてると思う。


 顔は文句なしにカッコイイし、スタイルは細身で筋肉質と文句なし。

 身長は180cmあるし、声は渋くてセクシ―。

 頭の出来も優秀みたいで、進学校でトップを取れるハイスペックだし。

 たぶん、表向きのマイナス要素は見当たらない。


  ただひとつ――オタクなことを除いては。


 わたしはひとつ深呼吸してから、お兄ちゃんのお部屋のドアを開けた。


「お兄ちゃ」

「ルルたん、おパンツ取替えし」


 キィィ―――┐

       └─―バタン。


 わたしは静かに。

 お兄ちゃんのお部屋という大魔境への扉を閉めた。


「ムリだよ……」


 久しぶりに覗いた、お兄ちゃんのお部屋。

 中身は相変わらずひどかった。

 全体的にピンクカラーで、壁を制圧したポスターはアニメキャラ。

 戸棚の中には美少女フィギュアたくさんで、本棚には薄い本がたっぷり。


 気になるパソコンの中身は……乙女は見ちゃいけない気がする。


 オタクなお部屋で、萌えフィギュアのパンツを脱がそうとしていたお兄ちゃん。

 その幸せそうなツラを見て、わたしは改めて確信した。


 ――あのオタクはダメだ。


 もはや手遅れ、打つ手なし。

 筋金入りの変質者に、普通の恋をさせるなんて無理。

 それは、イスラム教徒が豚肉を食べるようなもの。

 きっと脳みその考え方から変えないと、実現不可能に決まっている。


「無理だよぉ……」


 わたしは弱音をポツリ。

 だって明らかに無理ゲーなんだもん……


 あの変態オタクのお兄ちゃんに――

 生身の女性と恋愛させるなんて……。

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