第11話 なんか見たことある

 どことなく既視感がある。「なんとなく見たことあるかも?」そして、面白みが足りない。どうしようもないのでいつも奇策に出る。近くにある一度も文章にしたこと無いやつ書いてみる。

 マグカップの中に入りたいという衝動がどこからか湧き出てくる。物理的に無理な衝動に解決策はあるんだろうか。私の部屋に置かれたマグカップは大きめで、ゆるめな絵がブルーで描いてある。フライパン、クリクリって回してコショーだすやつ、ケトル……ぐんにょり歪んだ線がタイムトンネルくぐってる途中かよって突っ込みをひきだしてくれる。手を伸ばしてみると手首までがすっぽり収まった。そのまま手を抜こうとするとマグカップも一緒についてきた。ロックマンのロックバスターみたいだ。ここで終わり。これ以上は何もない。

 いきなり小さくなった私がマグカップの中に入りそこから繋がる異世界への冒険に誘われるわけでもない。実際にマグカップの底からエネルギー弾が発射されるわけでもない。

 因果関係が無い文章は面白みがない?

 うまく何かに繋がってくれと祈りながら行き当たりばったりで書いているのだ。


 いままで文章にしたことのないものなんて山ほどあるはずなのに……きっと、空白や真っ白の部分は目を凝らしてもよく見えないものなんだろう。


 どうすれば驚くのだろうか。

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