英雄の側には女が付き物って本当ですか? はい/YES
霞羅(しあら)
プロローグ なぜモテないそれは英雄じゃないからだ!
「あー、彼女ほしーってかエロエロなことしてー」
こんな健全な青少年なら誰でも考えそうな妄想を駄々漏れにしているのは俺こと、
顔はそこそこイケメンだと言われることもあるのだが、ご覧の通り頭の中が残念だからか彼女なんていたためしがない。
「そんな真弥の気分を慰める為のDVDをやろう」
そう言ってDVDを差し出してきたのは俺の悪友の
「なんだこれ?」
「ファンタジーモノのちょっとサービスが多めの女の子ビデオだよ」
ニヤニヤしながら言う美一に肘を食らわせつつ、俺も内心ニヤニヤしていた。
☆☆☆
家に帰った俺は、すぐさま部屋に飛び込み、鍵を締め、カーテンも閉めた。
無論、美一から借りたビデオを誰の邪魔もなく堪能するためだ。
「さーてどんな女の子が拝めるのかなーっと」
そんな俺の期待の先に待っていたのはエルフの金髪巨乳ちゃんでも、スケスケレースのエロいサキュバスのお姉さんでもなく、真っ白な閃光だった。
「は?」
そして、その閃光が収まると妖精サイズの女の子……というか、妖精そのものがテレビの前に現れた。
「おめでとうございます、あなたは世界を救う勇者に選ばれました」
「そんなことはどうでもいい、女の子を寄越せ!」
「女の子をご所望ですか、世界を救っている途中にわんさか集まると思いますが……」
「なんだと!?詳しく聞かせろ!」
「わかりました、ご説明します、そして私の名前はノエルです、以後よろしくお願いいたします」
☆☆☆
我々の世界、パンデミシアでは現在大魔王により、世界の8割程度が支配下に置かれています。
そこでこのままではマズイと思った、私の上司にあたる天界神・サラス様は勇者に大魔王を討伐してもらうため、世界に神の啓示を出しました。
しかし、ほとんど大魔王によって支配された世界では勇者になろう、そう考える人は極少数でした。
そこでサラス様は、別世界の人間に目をつけました。
別世界の人間なら、まだ望みはあるだろう、そう考えたのです。
そして創られたのがこのDVDです。
勇者になる素養がある者がこのDVDを見ると、私のような精霊が出てくる仕組みになっています。
勇者になりたい、そういう人がいたらこのDVDを通して、私達の世界に転送できる、そういう仕組みです。
もちろん強制ではありません、断ることもできます。
ですがその場合、一生種無しになっていただくことになります。
こちらの世界に来て、強くなれば自ずと勇者様を慕って多くの女の子が集うことでしょう。
どちらを選ぶかはあなたの自由です。
さあ、ご決断を。
☆☆☆
「ほぼ、強制じゃねえか!?」
話を聞き終えた俺は、半狂乱で叫んでいた。
「では、勇者になっていただけると?」
「ああ、なるよ、なってやるよ!つか、素養ってなんだよ?」
自棄になって、勇者になると宣言した後で俺は、なぜ自分が選ばれたのか、その理由が明かされて無いことに気付いてノエルに疑問を投げ掛けた。
「それはあなたの類稀な、妄s……想像力です」
「今妄想力って言おうとしたよな!?」
「私達の世界はその想像力が強さに関わってきます」
「華麗なスルーをありがとう!」
「想像力が強ければ強いほど私達の世界では強くなれます……時には世界そのものを改変するほどに」
「なるほどなるほど、つまり俺のような男が行けばハーレムも夢じゃない、と」
「まあそうなりますね」
「よし、行こう、すぐさま行こう」
「現金な人ですね」
半ば呆れた様子のノエルに反して、俺のテンションは有頂天を振り切って、天元突破していた。
「いざ、行かん、我がハーレムへ!」
「あぁ、ちなみに向こうに着いたら地上5000メートルの空中に放り出されるのでご注意を」
「洒落にならん!」
「では、また向こうで」
そういうと、ノエルが来たときと同じような閃光が俺を包み込んだ。
☆☆☆
そして、次の瞬間目を開いた俺は、本当に地上5000メートルにいた。
「マジかよぉぉぉぉ!」
落下速度は尋常ではなく、普通に落ちたら即死だろう。
だが俺は、チート性能を与えられている、無事だと想像すれば生きていられるだろう。
問題はどう着地するか……だ。
そう、俺は、変態なだけでなく、絶賛中二病拗らせ中なのだ。
そうこうしている内に地面が近づいてきた。
「まあ、こういうのは安定が一番か」
そう、呟いた俺は、足で気流を操作できるイメージを膨らませ、無事着地した。
さながら舞い降りた堕天使のごとくだ。
予想外なのは、着地した場所に美少女が三人もいた事だった。
俺は、異世界転生早々幸運に見舞われているようだ。
さあ、ここから俺の
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