第9話
理は体を丸めた。
理の腕が既に悲鳴を上げていたからだ。度重なる
痺れが収まらず少しでも動かそうものなら激痛が走る。
ーーもう、防御は出来ない。
この結論に至った理は体を小さく丸めるという策を講じる。
なぜ、体を小さくしたのか?
それは敵に狙いを絞らせるためだ。
ツインテールの少女に投げられ、空中で身動きが取れないまま武器を持ったミイラと衝突する。ミイラは野球のバッターのように棍棒を構えている。そこから考えられる攻撃は一つ。
理を打つのだ。
体をくねらせればミイラの棍棒をよけられるのかもしれない。しかし、よけられない可能性の方が高い。加えて躱すことに集中するので攻撃が当たった際、致命傷になりかねない。防御の姿勢と回避の姿勢は全く違うからだ。
回避する時は基本的に防御しない。
この状態で敵の攻撃をまともに喰らう事は出来ない。
だからこそ、理は防御を選んだ。
腕が使えない彼が考えた防御とは『額受け』である。
額は人体の中で比較的固い部分だ。棍棒は見た感じ木製。こちらが棍棒に殴られるのではなく、棍棒にこちらが頭突きをして壊す。
攻撃は最大の防御。
体を丸め、的を額に絞らせることによって、理は壊して守る作戦をとったのだ。
「おもしれぇ」
ミイラが棍棒を理の狙い通りの場所、額に向かってフルスイングした。それに恐れることなく、理も首を振り、高速で襲ってくる棍棒にヘッドバットした。
グキャ。
生々しい音が響き渡る。
理は自分の視界が真っ赤になっていることに気が付いた。直後、頭に突き刺すような痛みがくる。
「いってェェ!!!!!」
その場に
「そんなんで俺の攻撃止められるとか思ってんじゃねぇよ」と、ミイラは棍棒を肩に載せながら言う。
棍棒には傷一つない。
木なら絶対に折っていたはずだ。いくら自分が弱っていたとしても全力で頭をぶつけて棍棒が無傷なはずがない。
「くっそ.....」
「さっさとやられろよ、ダルイな」そう言って理の首を掴み、高くに掲げた。
「がっ!」
理の首を締めているのはミイラではなく、チャイナドレスを着ている金髪の女だ。
「これでどうよ?」
金髪が締めている手に力を込める。その瞬間、焦げた脂の匂いがした。
「ぐわぁぁぉぁぁぁ!!!!」
理の絶叫。彼の首からは煙があがっている。あまりの痛みに暴れ回る理。金髪の女は興味がなさそうに理を離す。
理は自分の首を触る。彼の首には血が滲んでいる。触った指が赤く染まっている。
鼻につくのは肉が焦げた匂い。ヒリヒリとする自分の首からその匂いがする。
「火傷、したのか?」
理解が追いつかない。
「止めは私が刺す」
白い
理は睨むことしか出来なかった。
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