第1440話 対面 ブントの首領


そのまま走っていくと其の通路の突き当りにいかにも怪しげな雰囲気を放つ大きな扉が存在していた。


「兵器が迎撃してきた通路の先にある大きな扉……如何にもって感じの場所ね」

「ああ、だけどここまで来て躊躇う理由は何一つとして存在していない、行くよ皆」


扉を見た星峰と天之御はその場にいる面々にこう告げ、其の扉に対して手をかけようとする。

先程の勢いのある言葉とは裏腹に其の動作は慎重だ、だがそれは決して臆病だからではない、この扉が罠、擬態生物である可能性が捨てきれない以上警戒心を抱かざるを得ないのである。

だがそれは取っ手に触れてもそのまますんなりと扉が開いた所を見て完全な肩透かしに終わる。


「ここに来て擬態扉も仕掛けていない……よっぽどの慢心があるのか、それとも何か他の策があるのか、其のどちらかなのでしょうね」

「どちらにしてもここでブントとの戦いを終わらせましょう!!そうすれば済む話よ」


星峰が何時もの様に冷静な分析を行うとコンスタリオはブントを倒せば全てが終わると言う言葉で全員を鼓舞する。

無論、そんな簡単な話ではない事はコンスタリオ自身も分かっていた、だがその内心からは不思議とこう話したくなるような何かが湧き出ていたのである。


「さて、この先に何が居るのか……」


其の扉を開け、中の部屋に入るとそこにはブエルスの謁見の間に酷似した、しかし何処か禍々しさが漂う一面灰色の部屋が広がり、其の中心部分にある椅子には一体の人族が立っていた。


「フフフ、遂にここ迄来たという訳か」

「その口振り、どうやらあんたがブントの首領みたいだな」


その人族が言葉を発し、モイスがこう突きつけると人族は黙って振り返り、その外見を顕にする。

見た目は良く居る痩せ型の中年男性といった外見だが、その顔は虚ろでありながら同時に果てしない醜悪な欲望を感じさせる部分が何処かにあった。


「私がブントの首領アクティオだ。

君達の事は良く存じ上げているよ、我が方の社員達からの報告からね」


一行が目の前に居るという事は追い詰められている筈なのだが、アクティオは何処か飄々とした態度で一向に対しこう話し出す。


「その社員って言うのが今まで戦乱を引っ掻き回してきた双方に潜伏してる連中の事なのね!!」


シレットが激しい声でこう告げるとアクティオは


「その通りだ、我等の傘下に入らぬばかりかその仕事を尽く妨害してくれた存在としてな」


と変わらず飄々とした態度で返してくる。

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