第1416話 それぞれの力 やるべき事

「流石に敵の総本山が近いってだけの事は有るな、攻撃が完全に後先考えてねえ」

「ええ、こんな所でこんな威力の有る砲撃を行ったら他の兵器や兵士も巻き込みかねない。

最も、ブントの頭の中では又作って補充すれば良い位にしか考えていないのかもしれないけど」

「それでもこの状況で自軍の戦力をみすみす減少させるのは自縄自縛に繋がりかねない、そんな状況を敢えて作り出してきたとなると、この兵器はブントにとって攻撃要員として重要な立ち位置を占めているのかもしれないわね」

「だったら尚更こんな物を市街地に出させる訳には!!」


中型兵器の火力を目の当たりにし、コンスタリオ小隊は改めて兵器を破壊する必要性と覚悟を認識する。

其の認識を感じ取ったという訳では無いだろうが、中型兵器は続けて両腕部の機関銃を放ち、コンスタリオ小隊に向けて乱射してくる。


「つっ、さっきの大技を外したから小技で時間を稼ぐつもりなのかもしれないわね」

「あんな物、二発も三発も撃たせねえ!!」


コンスタリオが攻撃の真意を推察するとモイスは手に銃を構え、兵器が先程強力な光を放った場所を中心に攻撃していく。

だが当然そこは強固な装甲に守られ、銃弾で破壊する事など出来ない。


「モイス、幾ら銃弾を使ってもそれじゃ……」

「いえ、ああしておけば撃たれるのは防げる。

装甲を閉じたまま放つ訳にはいかないからね」


シレットはモイスに対し心配そうな声をかけるがコンスタリオはモイスの真意に気付いているのかその行動の詳細を説明する。

それに対しモイスが首を縦に振っている所を見るとどうやらコンスタリオの言う通り兵器の攻撃を防ぐのが目的であるようだ。

しかし、当然のことでは有るがそのままでは兵器を破壊する事は出来ない、モイスが攻撃を止めている間に何か別の攻撃を加える事をコンスタリオ達は求められていた。


「モイスが攻撃を防いでくれていてもこのままではジリ貧になります、何か別の攻撃で一気に破壊しなければ……」

「だったら私達の力を合わせる?そうすれば或いは行けるかもしれないわよ」


シレットが少し焦燥感を感じさせる発言をした為か、コンスタリオは自分達の力を合わせる事を提案する。


「合わせるって、どうやって?」


具体的な方法が分からず困惑するシレットに対しコンスタリオは


「貴方の魔力を私の体に纏わせるのよ」


と返答する。

それを聞いたシレットは


「ああ、そういう事ですか。

久し振りだから失念していましたよ」


と先程までとは打って変わって納得した表情を浮かべる。

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