第1400話 それぞれの下準備
「となると、最も勝負に打って出るべきタイミングは……」
「奴等が最後のあがきを見せてきたときじゃねえか?今回の施設の陥落は当然奴等も分かってる筈だ。
そして当然、そのまま黙ってそれを見逃すとは思えねえ、そう遠くない内に何か仕掛けてくるだろうさ、と言っても、そんな事はここにいる全員が分かってるだろう」
仕掛けるタイミングについての話題を空狐が振ると八咫がこう言い切り、その言葉に全員が首を縦に振って同意する。
八咫の言う通り、一同もこの状況においてブントが何かを目論んでいると言う事は想定しているのだろう。
「いや、寧ろ星峰はデータを見た時点でそれを想定していたんじゃねえのか?だからこそコンスタリオ小隊にデータを複製して渡したんだろ?」
「流石ね、そこまで察していたなんて。
ええ、もし万が一直ぐにでもブントが行動に出てきたら此方が解析したデータをコンスタリオ小隊に届ける前に戦乱が起こる可能性も捨てきれなかったからね」
「幾らブントでもそこまで考え無しに行動するものなのかしら?」
「平時であればしないだろうね、だけど奴等にとって、否僕達にとってもそうだけどあの施設が陥落した事は平時ではなく非常時だ、故にその結果暴挙に出る可能性が無いとは言い切れない」
「その結果が突如として兵器を大量に送り込む事だと?」
「ああ、その通りだよ。
そうならないに越した事は無いが、今回の規模が規模なだけに念頭には置いておく必要がある」
八咫、星峰、岬、天之御がそれぞれに思う事を口にし、それと同時にその顔が険しい物になっていく。
その一方で星峰は画面に表示されているデータを文との本拠地らしき場所から兵器のデータへと移動させていく。
「さて、此方に記録されているデータだけど、これも今まで見てきた度の施設のデータよりも詳細な物ね。
勿論それは既に分かっている事だけど、それだけじゃなく兵器の枝分かれ、そしてまだ私達が見た事が無い兵器のデータも存在しているわね」
「となると、ブントとの最終決戦の際にそれらが出てくる可能性は?」
「天之御、貴方であれば既に見当はついているのでしょう?ま、恐らくは同じ事を考えていると思うけど」
データの画面を見ながら解説していく星峰に天之御が少し質問を行うと星峰は何処かはぐらかしているような、そうでもないような少し意地の悪い返答を行う。
だがそれに対し天之御は機嫌を悪くする事は無く、寧ろ微かながら笑みすら浮かべていた。
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