第1336話 断つべき通路

「と言う事はつまり、此処に居る兵器を殲滅してこの転移通路を封鎖する事が出来ればこれ以上遺跡への侵攻を行わせない様にする事が出来るって訳ね!!」

「確信はありませんが、其の可能性はかなり高いと思います、ですから……」


空狐が現状を把握し、霊諍がこう叫ぶと天之御は


「分かった、なら此処は任せて!!」


と告げ、同時に妖力を溜め始める。


「え!?分かったと任せてというのは……」


状況が読めないのか、霊諍は少し困惑した声を上げる、そんな霊諍を尻目に天之御は


「魔王妖術……深緑の風刃!!」


と叫ぶと緑色の風を巻き起こし、その風を鋭い刃に変化させて周辺の兵器と生産プラントを一気に破壊する。


「今のは一体……兵器や生産プラントに僕達の攻撃が効かない為に手こずっていたのに……」


そう言って唖然とする霊諍は完全に動揺した声を上げていた、どうやら周辺の兵器と生産プラントが赤制御であるにも関わらず妖術を受けたというのが腑に落ちないらしい。


「赤制御と言っても其の容量は無限って訳じゃない、その容量を超過すれば一気に崩壊するって訳だよ」


天之御がそう説明すると同時に周囲には破壊された兵器とプラントの瓦礫ががらがらと音を立てて落下してくる。


「殲滅に成功しましたね、なら次は……」


霊諍はそう言うと転移妖術の方を向き、何かの妖術を使おうとする。

だがそれを見た天之御は


「否、君がそれを使うのはこの通路を通って遺跡に戻り、防衛部隊の面々が帰還したのを確認してからだよ」


と告げ、今は其の妖術を使わない様に告げる。


「え!?ですが此処まで来たのであれば……」

「その気持は最もだし嬉しいとも思う、だけどこの戦いは施設だけで行われているんじゃない、まだ遺跡にも兵器が残っている可能性立ってるんだ。

其の事を考えると防衛部隊も整えておく必要がある。

秘密基地を制圧されてしまってはこの施設を制圧したとしてもそれ以上の問題が生じる可能性もあるんだ」


天之御に止められた事に動揺する霊諍に対し、天之御は更に言葉を重ねる。

どうやら遺跡の防衛に戻って欲しいと言う事の様だ。

無論、霊諍も遺跡の防衛をおざなりにしていいと言う訳ではない、だが此処に来たのであればこのまま殲滅した方が早いのではないか、そう考えたのだ。

天之御もそれは考えてはいた、だがそれでも遺跡の防衛部隊を減らすべきでは無いと判断したのだ。


「……分かりました、ではお気を付けて!!」


霊諍はそう告げると転移妖術の通路の中に飛び込み、防衛部隊の面々もそれに続いていく。

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