第1334話 動き出す流れ

「人造生命の製造もこの施設が建設されて間もない頃から行われていた様ですね。

しかもその生命を兵器に組み込む事や怨念を利用する技術もきっちり記述されています」


星峰が表示させたデータを確認し、空狐がその一部を述べる。


「ああ、そしてこの技術が分散した形で各地に送り付けられ、そこで又人造生物を生み出していた」

「人造生命のデータのやり取りの記録は兵器と比べるとかなり多くの街に行われていますね、やはり人造生命は現地の住民として兵器に比べると隠しやすいのでしょうか」

「或いはそこで純粋に民間生命として生活させる為、又は後方の労働力としても利用する目的もあるのかもしれない。

戦乱は何も戦場に出ている兵士だけで行うものではないからね」


人造生命がどう扱われていたのか、それを彼等が知る由も無い。

だがその内心ではせめて民間生命として穏やかな日々を過ごしていて欲しい、そう願うばかりであった。


「戦乱の労働力として利用する為に生み出される生命……その存在は許されないわね、それにその生産場所も……」


星峰がそう言いかけた時、突然兵器生産プラントの方からドカンという大きな爆発音が響いてくる。


「爆発音!?しかも兵器生産プラントの方から……」

「次の用心棒が来たのかもしれないね、星峰、データの入手は?」

「既に端末に全て落としているわ!!何らかの隠しファイル等が無い限り、全てのデータを入手出来ている筈よ」


爆発に反応した涙名の言葉に続き、天之御がデータの入手状況を星峰に尋ねると星峰は既にデータの入手は完了していると返答する。

その返答を聞いた天之御は一瞬流石だと言いたげな笑みを浮かべるものの、この状況ではそれを見せている余裕はない。

直様一同はデータルームから外に飛び出し、爆発音が聞こえてきた方へと向かう。


「生産ラインの動きがさっきより早くなっているわね……急ピッチで兵器を生産しなければならない何かが起こったというの?」

「僕達がここに突入したからだとしたらもっと早くこうなっている筈だから、他になにか理由があるとすればそれは……」


星峰と涙名が生産ラインに向けての疑問を口にする一方、天之御は


「考えられるとしたら生産ラインの終着点に何かが起こったケースかもしれない、とにかく急ぐよ!!

コレが今後の流れを変えることに成るかもしれないんだから!!」


と一同に発破をかけ、先を急ぐ様に告げる。

だがその直後、再び爆発音が響き渡る。


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