第1320話 施設への帰還

しかし、ここで亡霊と擬態兵器を撃破出来た事が功を奏したのかそこから先は兵器の数が明らかに減少していた。


「さっきまでと比べると兵器の迎撃が緩んでいますね、配備されている兵器の数がこの方向は少ないのでしょうか?」

「其の可能性も考えられなくはないわね、まあ、正確に言えば戦力を多く投入する必要がなかったから少なくしたのかも知れないけど」


兵器の迎撃が弱まったことに対し岬が疑問を口にすると星峰が少し妙な口調で返答する。


「どういう意味なの?星峰、迎撃用の戦力を出し惜しみする必要は無いと思うのだけど……」


今の発言ではやはり引っかかりを覚えたのか、岬は星峰に問いかけてくる。

すると星峰は


「さっき私達が破壊した擬態兵器も含めて戦力として計算していたのかも知れないと言う事よ。

予め戦力が配備されているのであれば態々そこに戦力を投入する必要はないでしょう?

生命であれば裏をかいたり臨機応変な対応をする事も有るんでしょうけど其の辺りはやはり兵器ね」


と少し兵器に対する欠点を指摘しながら返答する。

それを聞いた岬は


「なるほどね、其の戦力を一気に殲滅されたから兵器の戦力が少ない様に感じているって訳か」


と星峰の発言に対し、完全に同意した表情を浮かべる。


「星峰、そうは言っても油断は禁物みたいだぜ。

まあ、油断してるとは思ってねえけどよ、あちらさんも黙って行かせてはくれねえ」


八咫がそう星峰に告げると同時に前方から兵器の新手が出現する、更に其の中には中型、大型兵器も確認出来た。


「中型と大型の兵器も差し向けて来たわね……それだけ追い詰められてるってことなのか、それとも単に余裕をかましているのか……」

「どっちにしても僕達にとっては好機だよ、一気に中枢を突破するね」


空狐が兵器の配分に疑問を口にすると天之御はそう言いながら前方に向かい


「魔王妖術……深緑の審判!!」


と言って前方の広範囲に緑色の斬撃波を放ち、地面に沿わせて奔らせて前方から迫ってきた兵器を一斉に両断する。


「急ぐよ皆、目的の施設まで後少しだ」


兵器を一掃した後、天之御はそう叫んで一同に更に先を急ぐ様に告げる。

其の言葉に鼓舞されたのか、一同は更に其の勢いを増して先へと進んでいく。

其の勢いを止める事は最早兵器に出来る筈も無く、一同は瞬く間に施設の入口まで辿り着く。


「漸くここまで戻ってきましたね、ですが……」

「ええ、まだこの戦いが終わった訳じゃない、否、寧ろここからが本番なのかも知れない、気を引き締めて!!」


岬がそう告げると天之御はこう告げ、それを聞いた一同は納得した表情を浮かべる。

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