第1306話 それぞれが今出来る事

「僕達も迎撃に向かうよ!!もしかしたら兵器が覚醒したのは僕達が遺跡に居る間に何らかの起動条件を満たしてしまったからかもしれないからね」


天之御がそう叫ぶと他の面々も立ち上がるがそこに霊諍が


「いえ、皆さんは遺跡の調査を再開して下さい!!兵器の侵攻は僕達が……」


と天之御の発言に待ったを掛ける。


「霊諍君、だけどあの数を抑えるのは無茶よ!!この秘密基地の戦力が何の位なのか私達だって把握しているわ、それでも無茶を言い出さないで!!」


霊諍の提案に対し空狐は珍しく声を荒げる。

その荒げ方は決して我を通そうとしている訳ではない、寧ろ失いたくないが為に荒げているというのは周囲には瞬時に理解出来た。

だがそれでも霊諍は


「しかし、遺跡と施設の調査をしなければ例え兵器の侵攻を食い止めても又同じ事が……」


と食い下がる。

そう告げる霊諍に対して


「遺跡の調査が出来るのは魔王達だけじゃないわ!!私達も居るって事、忘れないでよね」


と言うコンスタリオの声が割って入ってくる。


「コンスタリオさん……」

「遺跡までの調査には回れないかもしれないけど施設の方は私達が見回るわ、もし施設の中に何かあったとしたら兵器の侵攻を止められるかもしれない。

その可能性にかける意味も込めてね!!」

「そういう事だ、施設の調査は俺達の方で引き続き受け持ってやる、だから兵器の方は任せるぜ」

「互いの任務を終えて又会いましょう」


空狐が一瞬動揺した声を上げるとコンスタリオ小隊の面々はそれぞれ口々に告げ、その場から立ち上がっていく。


「分かりました隊長!!兵器は必ず此方で殲滅します」


星峰はそう告げると通信妖術を切断しようとする、その間際にコンスタリオは


「隊長……か、その姿でその言葉を聞くとコレまでとは違った気持ちになるわね」


と星峰に対する激励とも誂いとも取れる言葉と口調を告げる。

その直後に通信を切断すると涙名は


「星峰……」


と星峰に対し少し心配そうな声掛けをする、だが星峰は


「コレが永久の別れになる訳じゃないわ、いえ、別れになんてしない!!だから……」


と強い決意を感じさせる言葉を口にする。


「そういう事だよ霊諍、遺跡や施設を調べられるのは僕達だけじゃない、同様に兵器も君達だけで迎撃しなければいけない訳でも無い」


天之御はそう告げると霊諍は


「……分かりました、殿下達のお力添え、感謝いたします!!」


という声と共に正式に協力を申し出てくる。

それを受けた天之御は


「さあ、皆行こう!!」


と言って立ち上がり、他の面々もそれに倣う。

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