第1290話 3人目の通用者

無論、その仮説は正解なのであるが、それを現時点の彼等が知る術は無いが。

一方、市街地から又擬態兵器が出現したことについては一同に新たな警戒心を抱かせるには十分過ぎる材料であった。


「また擬態兵器か……そして発光体の違い、もし人族と魔神族双方から攻められる事を想定して迎撃システムが組まれているのだとしたらこの遺跡、そしてあの施設は相当厄介な物を抱え込んでいそうね」


星峰が何時もの様に冷静に戦況を分析すると空狐も


「星峰がそう言うとそれが真実味を帯びていそうで怖いわね……」


と少々冗談、或いは誂いじみた言い方ではあるものの全く笑っていない顔で呟く。


「何方から攻撃を受けても対処出来る様にしているという事はつまり、何方からも攻撃される可能性を想定していると言う事だものね、それだけ個々の技術は貴重且つ悍ましいものであると言うことなのかも知れない」


涙名がそう発した事により、一同は改めてこの施設の技術、先史遺産の技術についての危険性を認識させられる。

一方、そんな一同に対して別の警戒を強める存在が居るのか兵器が更に奥から出現する。


「今度は迎撃用の兵器か……一体どうなっている?俺達がここに侵入しただけでこれだけ次々と兵器が出現するものなのか?」

「八咫の言う通り、只単に誰かが入ってきたから出撃させたにしては数が多いわね、段階的に脅威を測定する仕組みでも備えられているのかしら?」


八咫と岬がそう呟いた後、涙名は


「そうかも知れないけど、今はそれを考えている時間は無いよ」


と発言し兵器に接近して


「闇流爪牙!!」


と言って牙の様に鋭く尖らせた爪を兵器の中心に突き立てて攻撃する。

すると兵器は瞬く間に瓦解するが、その際に涙名は奇妙な表情を浮かべる。


「涙名、どうしたの?何か気になる事でもあるの?」


空狐がそう問いかけると涙名は


「あ、うん、今の攻撃が兵器に普通に効いていたけど、それが引っかかって……」


と言い、破壊した兵器の発光体を抉り出した爪先に視線をやる。

その言葉に従うかの様に空狐も視線を涙名の先に向けるとその発光体は青色であり、先程まで魔王陣営の攻撃を尽く吸収していた色である事が分かる。


「あれは……あの色は私達の攻撃を吸収していた色ね、確かにあの色なのに涙名の攻撃も通用したと言うのは……やはり何かあるの?私と星峰、涙名の攻撃だけが普通に通じる理由が……」


涙名の攻撃も又、普通に兵器に通用したという事実は一同の思考を更なる混乱に陥らせる。

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