第1286話 星よりの恵み

「ああ、此方の攻撃が通用しない兵器……データに書かれては居たがまさか本当に実在していたとはな……」

「しかもそれが今こうしている間にも量産され、場合によっては世界全土を覆う驚異となり得る、その点だけでも既にその恐ろしさは推して知るべしでしょう」


シレットとモイスも兵器の脅威を改めてその身で感じており、その声からは不安が感じられる。

一方のコンスタリオも


「ええ、流石に恐ろしい部分があると感じているわ、さっきの戦いであのプラントの上流を破壊出来たとは言え、他のプラントでも同様の兵器が量産されている可能性は極めて高い、その点を考慮すると早く次の場所に行きたい……と思う一方で言って大丈夫なのかという不安も首をもたげてくるわ」


と疲労、不安、焦燥感、そうした様々な感情が入り混じった言葉を口にする。

その言葉は普段のコンスタリオに比べ、明らかに弱気な印象を受ける、それだけ先程の兵器との戦闘で追い詰められたのだろう。

シレットとモイスもそれは察知しているが、かと言って何かが言えるという訳でも無く口黙っている。


「とにかく、ここが敵地である以上じっとしている訳には……」


シレットがそう口にし、モイスとコンスタリオもそれは分かっていると言う風な表情を見せるものの、一方で彼等の体は動かない、否、余りにも疲労が蓄積している為に動きたくないと言う思いがあるのかも知れない。

彼等自身の顔にも歪みが浮かんでくるが、かと言って他の面々のそれを指摘出来る様な状況でも無い。


「くっ、それは分かっているのだけど、体が……」


コンスタリオがこう呟くとシレット、モイスもその言葉の後に休みたがっていると言う言葉が続くのは容易に想像出来ていた。


「くっ、体は正直ね……でも、今の私達にそんな時間は……」


コンスタリオはそう言って無理に立ち上がらせようとした体の動作を止める。

その様子を見たモイスが


「隊長……?」


とコンスタリオに問いかけるとコンスタリオは


「やれやれ……どうやら運命も私達に休めと命じている様ね、どうやら直ぐには動く必要はなさそうだわ」


というと床の一点に視線を集中させる。

コンスタリオの発した言葉の意味が理解出来ず、モイスとシレットもコンスタリオが向けている視線の先に目をやる、すると


「……ああ、そういう事ですか」


と言う声と共にモイスとシレットも納得した声を上げる。

三人が向けている視線の先の床、そこには先程スターが使って連絡してきた通信妖術の紋章が出現していたのだ。

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