第1285話 追撃者と逃走者

そして走っていくと先程見つけた生産プラントの下流に入る扉が視界に入ってくる。


「あそこからプラント内部に入るのはどうですか?プラント内部まで兵器は……」

「駄目よ、兵器は確かにプラント内部には侵入してこないけどもしプラント内に外に出入り口がなければ又さっきと同じことになる。

それに大型兵器が一体とは限らないわ、もし今度赤制御の大型兵器に遭遇したら私達はもう万事休すよ」


扉を目にしたシレットがプラント内部への避難を提案するがコンスタリオはそれでは根本的な事態の打開にならないと判断し却下する。


「そうですね……そんな事にも思考が回らない位この状況は危険だということなのでしょうか……」


シレットは少し落ち込んだ様な口調でこう零す。

沈んでいるのは自身の出した提案が却下されたからではない、今コンスタリオが指摘した提案の問題点に自分で全く気付けていなかった事に対して落ち込んでいるのである。


「そうね……確かに此処までの危険は今まで経験した事がないかもしれない、だからこそ此処で終わらせないといけない!!」


コンスタリオがこう語気を強めて言う、それは沈んだシレットを激励する為でもあり、又自分自身にそう言い聞かせる為でもある。

そして更に進んでいくと階段が見え、一行はそれを駆け上がる。

そして階段を上がり終えるとシレットが


「隊長、この階段を落とせば兵器の追撃を止められるのでは?」


と再びコンスタリオに提案する、すると今度は


「そうね、これだけの建物であれば階段の一箇所が破損したとしても倒壊するとまでは行かないでしょう、シレット、やって見せて」


とシレットの提案を採用し階段を破壊する様に命じる。

するとシレットは


「了承!!サンダー・スフィア」


と言って雷の球体を出現させて階段に落下させ、更にそれを爆発させて階段に大穴を開ける。

すると追ってきた兵器は穴の手前で其の動きを止め、左右を見渡し始める。


「勢い余って穴の中に落ちるとまでは行かないか……やはりこうした事態に関しては柔軟な思考をするように能力が与えられているようですね」


勢い任せで行動している訳ではないという印象を抱かせる行動を兵器が採った事により、一行は兵器の思考の柔軟性を改めて実感させられる。

其の兵器を尻目にそのまま階段を上がり、踊り場まで辿り着くとコンスタリオ小隊の面々は其の場に座り込んでしまう。

其の見た目から疲労しているのは明らかであった。


「つっ、流石に厳しいわね……」


コンスタリオの口から思わず出たこの一言がそれを物語っている。

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