第1243話 文章の迷宮

「引っかかる文章?一体何処にあるの?」


シレットがこう問いかける辺り、其の文章とは普通に読み進めていく上ではスルーしてしまう類の物なのだろう、問いかけを受けたモイスは


「ほら、此処に書かれているこの文章だ。

部外者が滞在する事になった件について上層部は何の説明もしてこない、度重なる説明を求めているにも関わらずだ、この施設の希少価値、重要性は上層部も重々承知の上の筈、それなのに部外者を立ち入らせるとは……」


という文章を指差しながら


「機密がある場所に部外者が立ち入るのは好ましくねえってのは分からなくもねえけど、それにしたって此処までの文章で記述するか?

それに上層部が何の説明もしてきていないというのも気になる」


モイスがそう説明するとシレット、コンスタリオも確かにと言う表情を浮かべる。

単に部外者が立ち入ってきただけとして片付けるには文章の粗暴さが目立ちすぎているのだ。


「これほど言い切るまでに部外者の立ち入りを禁じたい場所……此処のタウンそのものが仮にブント本来の目的をカムフラージュする為に建造されたのだとしたら其の狙いは一体……」

「それも気になりますが、さっきから兵器の情報よりもこの施設の調査記録ばかりが出てきますね、兵器の詳細情報は文章名のカムフラージュで実際は他のデータルームにあるのでしょうか?」


コンスタリオが疑問を呈すると同時にシレットは異なる疑問を口に出し、このファイルのタイトルと内容が乖離している部分があるという事を指摘する。


「そう言われればそうね、重要な情報ではあるから調査していたけど、これは明らかに表題と内容に乖離がある。

最も、表題の部分にまだ辿り着けていないだけなのかもしれないけどね……」


シレットの指摘に対しコンスタリオはこう返答すると更に文章を読み進め、其の先でデータが二つに分割されているのを見つける。


「ファイルの中でデータが分かれていますね、一方がフェイクのパターンなのか、それとも分野が違うデータを分けているのか……」

「此処まで来た以上、其の点を考えていても仕方ないわ、調査を続行しましょう」


二つに分割されてる事を考慮しつつも一同は更に調査を進める事を決め、まず左側にあるファイルを開封する。


すると画面には兵器の形式番号と思われるファイルが更に一覧となって表示され、このファイルが兵器の詳細を纏めたファイルであるという事が容易に想像出来る。


「お目当てのデータに辿り着けたのかしら?」


疑問を抱きつつもコンスタリオは兵器の詳細を調べていく。

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