第1244話 枝分かれの行方

兵器の名称は枝分かれした形で記述されており、恐らくは上から下に派生していった物であると推測するのは容易であった。

コンスタリオ小隊の面々はまず一番下のデータから確認していく。


「一番下のデータは私達も生産している兵器が並んでいますね、私達の感覚で言えば最新鋭の兵器ですが、このデータを見る限りでは……」

「何方かと言うと劣化品という様な印象だな、上位種を元に調整した量産型といった感じか。

そしてそれが現在のブントの、いや俺達の主力兵器か」


一番下の兵器の名称とデータを確認したシレットとモイスは口々にそう不満に近い口調で話す。

いや、不満というよりも怒りや不甲斐なさと言った方が適切なのだろう、魔王陣営との繋がりとスターの行動がなければこのデータに辿り着くどころかこの兵器を生産している連中に兵器と同じように都合よく使われていたかも知れない、そう思わずには居られないのだ。

そして一番下の兵器のデータを一通り確認し終えると其の一つ上の段の兵器のデータを確認し始める。


「この辺りもまだ私達が戦力として用いている兵器ね、最も此処は既に使われなくなっている兵器も多いから私達が用いている兵器の部分に関しては前衛機と後継機の関係にあると考えても良いのかも」


データを確認したコンスタリオ先程までの考え方を若干訂正するものの、それはこの場においては大した意味を持たない。

コンスタリオ自身それを分かっては居るものの、それでも考えを少しでも前に向けようとする為に敢えてそれを口に出す。


「この辺りの兵器も私達の技術力で生産されているものですね、それが何故この施設のデータに記録されているのか、其の点が引っかかりますが……」

「枝分かれを繋いでいった方が分かり易いって事じゃねえか?そして折角の記念にここに残してった……って言うのは無いな。

恐らく解析した技術をどう組み込んでいくか、其の為の参考にしたいから此方にも残したんじゃねえか?

ここにデータがある方が解析と組み込みの関係から行けばやりやすいだろうしな」


シレットとモイスが弾き出したデータについての仮説、それについて異論を唱えられるだけの物的な証拠は見つけられないからだ。


「今の所はモイスの仮説が最も説得力があるわね、その仮説に準じた上で話を進めていきましょう」


コンスタリオはモイスの仮説を現時点では採用する事を告げるとそのままデータの調査を続行し、更に一段上の兵器達を調べて行く。

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