第1208話 天之御の激励
「くっ、これじゃ先に進むのも……このままじゃ……」
表情では隠せているつもりなのかも知れないが、言葉や行動で焦燥感が内心に生じている事はシレットの様子から見て明らかであった。
「魔王妖術……久遠の闇!!」
その時天之御が総叫び、シレットの前方から迫っている兵器の前に黒い球体を出現させて其の兵器を吸い込んでいく。
「天之御……さん……!?」
あまりにも意外な光景、行動だったのか、シレットは其の場に立ち止まり、少し動揺した声を上げる。
「シレット君……君が育った場所だから焦燥感が生じているのは分かる、そしてそれを無理に抑えろなんて僕は言える立場じゃない、だけど君の焦燥感を取り除く援助をする事は出来る!!
だから一人で気負わないで!!」
駆け寄ってきた天之御に諭され、シレットの表情から少し影が消えたような印象を受ける変化が見られる。
「天之御殿下!?一体何を……」
突然にシレットを諭したためか、他の面々も面食らった表情を浮かべて只呆然とその光景を見て立ち尽くしそうになる。
だが目の前から迫ってくる兵器がそれを許さない。
「前方から兵器が接近してきているよ!!今はシレットの焦燥感の解決と並行して兵器の迎撃を!!」
涙名がそう叫ぶとコンスタリオ小隊、天之御達双方が光線体制を取り、迫ってくる兵器と戦う。
先程天之御が黒い球体に吸い込んで大半の兵器を掃討した事もあり数は瞬く間に減っていき一同は建物の入口まで迫る。
そして入り口に入ると其処は只広間があるだけであり、其処から見える階段が二階と地下に別れているのが見える。
「地上と地下の二箇所に別れている階段か……少なくともこの何方か片方には秘密が隠されていそうだね。
これは調べて見る価値はありそうだけど、どうする隊長さん?」
唐突に天之御から話を振られ、コンスタリオは又しても面食らった表情を浮かべる。
「え!?どうするって……一体……」
この発言に対して発した返答の動揺がそれを物語って居た。
「全員で一箇所ずつ調べるのか、それとも上下に別れて一気に調べるかって事だよ。
別れて調べれば効率は良いけど何か起こった時に対応するのが難しくなる、逆に纏まって調べるなら其の逆になるって事、この何方で行くかって事。
僕一人で完全に決めてしまう訳にはいかないからね」
先程コンスタリオに対して質問した理由を説明し、コンスタリオの返答を促す。
「成程……そういう事ね、なら私は二手に分かれる方を希望するわ」
その真意を聞き、コンスタリオはこう明確に返答する。
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