エターナル・パラダイス～永久の楽園～

第1183話 深まる疑念、その先には

「過去の襲撃が失敗に終わって居ますから其の点を警戒して居るのでは？」

「仮にそうだとしても新兵器を使わなくても地下遺跡から襲撃する事は出来た筈だろ。

それを今までしてこなかったという事はそこに何か裏が有るんじゃねえかって事だ、例えば見られたくない物が有るとかな」

霊諍の返答に対し八咫は更に自身の中にある疑問を投げかける。

其の疑問は確かに一理あり、一同を思考させるには十分であった。

「確かに其の通りね、新兵器を使わない理由は其の危険性に有るのだとしても今の今までその道を使って襲撃してこない理由は無い。

此処が戦略、戦術的に重要な場所であるのは既にブントにも知られている事だもの」

「そう考えるとその遺跡の先にブントの急所がある可能性は十分考えられるね。

否、場合によっては直接本部と繋がっている可能性すらあるかもしれない」

星峰と天之御の発言により、予てより抱いていた地下遺跡に対する疑念が更に深まる事となる。

其の顔を見て霊諍は

「地下遺跡については此方でも調査隊を増員して派遣し、範囲を拡大して調べます。

殿下達は一度お戻りになられては如何でしょう？

今回の一件をお伝えしなければならない方々もおられるのでしょう？」

と提案を口に出し、それを聴いた天之御は

「そうだね、そうさせてもらうよ。

但し……」

と其の提案を受け入れつつも何処かで釘を指す様な返答を行い、それに対し霊諍は

「分かっています、決して無理をして犠牲者を出すような事はしませんしさせません」

と言わずとも伝わっているといった印象の顔で返答する。

殿下と呼んでは居るものの、その顔は明らかに上司と部下ではなく昔からの親友といった印象であった、否、実際の所霊諍達は配下ではなく協力者という立場なのでその方が適切なのかもしれないが。

「なら、私達はブエルスに戻りましょう」

そう口火を切ったのは星峰であった、それに応えるかのように天之御は早々に転移妖術を発動させてブエルスの何時もの謁見の間へと帰還する。

そして帰還した直後、早々にキャベルに対し極秘回線の通信を送りブエルス司令へと通信を繋ぐ。

「殿下、通信を送ってこられたという事は何か動きが？」

「動きじゃなくて情報だよ、彼等を集められる？」

少し焦燥感を感じさせる司令官の応対に対し天之御は大丈夫だよと行った印象を与える声で返答する。

だがその返答に対し司令官は

「申し訳ございません、今コンスタリオ小隊は出払っておりまして直ぐには……」

と神妙な顔付きでコンスタリオ小隊の不在を伝える。