第1182話 湧き上がる怨念と疑念
そして一同は星峰を筆頭に先程まで地下遺跡で起こっていた事を説明する。
それを聞いた霊諍が
「成程……つまり皆さんがおっしゃるその怨念こそが通信を遮断した高エネルギーの正体かもしれないという事ですね」
「ええ、まさか通信を遮断する能力まであるとは思わなかったけど、状況から考えて其の怨念が元凶である可能性が最も高いと言えるわ。
そして、其の可能性があり得るのであれば今回の一件の問題はより深刻な物になりうる。
あの怨念と兵器が仮に地上に溢れ出る様な事になれば……」
霊諍と星峰の会話から続く其の言葉は一同に不安を抱かせる、だが一方で
「しかし、そんな兵器が何故ここに来て突然立て続けに姿を表す様になったのか……それに怨念が実態を持って襲いかかってくる事例は既に生じている。
下手をすれば其の別の戦力と成り得る存在を兵器に統合しなければならない仕組みを作り出すというのは余り効率的とは言えないのではないでしょうか?
勿論効率的である事を擁護するつもりは無いのですが」
と言う豊雲の言葉から一同は異なる疑問も同時に感じる事となる。
「確かに豊雲の言う通りだね、そうまでして搭載したい機能があの兵器にあるのだとすればそれは……」
こう涙名が口にすると其処に霊諍が
「それについてなのですが、先程見せたあの兵器について、更に幾つかの場所にハードポイントがある事が確認出来ました。
もしかすると其のハードポイントが何か関係しているかもしれません」
と口を挟む。
「ハードポイント……つまり拡張性があの兵器には存在していると?」
「ええ、恐らくは単機で対応可能な作戦を増やす為の処置なのでしょうけど、もしかすると其処に追加する武装、装置に其の怨念と関連する何かがあるのかもしれません」
「そう言えばあの兵器、以前交戦した生命を制御装置に組み込んだ兵器と同様の柔軟な思考、行動を取ってきたわね。
それも怨念や拡張性と関係しているのかもしれないわ」
星峰の疑問に対する霊諍の返答は一同の疑問に対する一つの回答にはなっていた。
更に
「其の柔軟な思考や行動も怨念を取り込んだが故の物なのかもしれない。
戦場では戦いながらだったから気が付かなかったけど、怨念も元を正せば生命だ。
それを取り込んだ事で兵器に柔軟性が与えられた可能性は十分考えられる」
と天之御が発言した事も又其の可能性について一同に考えさせるには十分な深みが含まれていた。
「ここに来て新兵器の猛攻か、だがどうしてここは地下遺跡から仕掛けてきたんだ?」
と八咫は更なる疑問を投げかける。
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