第1153話 絶望の中の希望
「さっきまでの作戦で交戦した兵器……あれが東大陸と西大陸の人族エリアに一度に出現したというの……」
空狐がそう呟いた直後、人族側には更なる通信が入る。
「又通信が……今度は何処からなの!?」
「此方側には来ていないって事はつまり、人族側しか通信出来ないエリアからって事か」
「其の通りだけど今はそれを分析している場合ではないわ!!早く通信に応対を!!」
シレットの発言に八咫が冷静に反応するとコンスタリオはそれよりも先にやる事があると告げる、それは事実であり真実であり、この状況で反論の余地は無かった。
いや、そもそも反論している時間も無い。
司令官が通信を繋ぐと其処には人族の兵士が映し出され
「司令、南大陸に突然道の兵器が多数出現しました!!状況から魔神族の新兵器かと……」
「そうだと思うのであれば早く其の映像を此方に送れ!!対処についてはそれから判断する!!」
通信を送ってきた兵士に対し司令が急かすような、叱責するような声を上げると兵士は納得したのか其の画像を送ってくる。
やはりそれも又、今回の作戦で交戦した兵器であった。
それと並行してコンスタリオが南大陸の地図を表示し、其の上に反応を感知させて確かに南大陸の様々なタウンに兵器が出現してる事が確認出来る。
「南大陸にまで兵器が出現してくるなんて……ブントが蜥蜴の尻尾切りを初めたとでも言うの……」
「或いはブントの裏側が遂に行動を起こし始めたか……そうだとしたら、いや、そうじゃなくてもこの状況、放置は出来ねえぜ!!」
コンスタリオとモイスのこの声を待つまでもなく、一同は出撃体制を取ろうとしていた、だがその時通信先の兵士から
「待って下さい、更なる転移反応を感知しました!!」
という言葉が聞こえてくる。
「更に兵器の増援が来たってのか!?」
モイスがそう呟くと兵士は
「いえ、兵器ではありません……これは魔神族部隊です!!魔神族部隊が多数此方に転移してきました!!」
と返答する。
それを聞いた天之御は
「魔神族部隊!?このタイミングで侵攻したって事はブントの追撃部隊が!?」
と普段の様子から見ると明らかに少し動揺した声を上げる。
「くっ、この状況で魔神族のブント部隊まで相手にしなければならないとは……」
ブエルス司令の顔に焦燥感が滲み出る、それはある意味絶望にも似ていた。
だが其の直後兵士は
「!?これは……魔神族部隊は我々に対してではなく、兵器に対してのみ攻撃を仕掛けています」
と言うこの状況からは想像し難い通信を送ってくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます